岡山女児殺害 録音録画の「自白」に焦点、可視化後も争点化続く - 産経ニュース

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岡山女児殺害 録音録画の「自白」に焦点、可視化後も争点化続く

岡山県津山市で平成16年9月、小学3年の女児=当時(9)=を殺害したとして殺人や強制わいせつ致死などの罪に問われた無職、勝田州彦被告(42)の裁判員裁判の初公判が6日、岡山地裁で開かれた。

物証に乏しいこの事件の公判では、捜査段階の「自白」の信用性が最大の争点だ。検察側は勝田被告が殺害を認めた取り調べの映像について、供述内容を文字化した「反訳書」を証拠提出し岡山地裁に採用された。一方の弁護側は弁護人不在時の供述だとして証拠価値を認めず、「自白」の信用性だけでなく任意性も否定。可視化(録音・録画)された取り調べをめぐっても、双方が激しい攻防を繰り広げている。

刑事司法において、密室での取り調べは長く「冤罪(えんざい)の温床」と批判され、弁護人の立ち会いに代わる手段として日本弁護士連合会などを中心に可視化が求められてきた。現在は裁判員裁判と検察の独自捜査事件について、取り調べの全過程の録音・録画が義務化されている。

だが制度が浸透するにつれ、録音・録画は弁護側にとって〝もろ刃の剣(つるぎ)〟であることが顕在化する。被告が一度犯行を認めてしまうと、後にそれを覆しても、映像の強い訴求力をぬぐい去れないからだ。

最高検は平成27年に映像を有罪立証のために積極活用する方針を打ち出し、裁判では検察側が相次いで証拠請求。これに弁護側が反対するケースが目立つようになった。

被告も撮影されていることが分かった上で供述しているのに、なぜ証拠の採否が問題になるのか。実は自発的に語っているように見えても、取調官に迎合したり、自暴自棄になって虚偽供述に及んだりするケースがあるからだ。

滋賀県の湖東記念病院で15年にあった患者死亡をめぐり、殺人罪で服役後に再審無罪が確定した元看護助手の女性は、刑事に好意を抱いて「自供」した。再審無罪判決では「警察官は恋愛感情などを熟知しつつ、これを利用して供述をコントロールしようとした」と指摘されている。

裁判所が取り調べ映像の証拠使用に警鐘を鳴らしたのが、17年の栃木小1女児殺害事件の公判だった。同じく捜査段階での「自白」が争点となり、1審の宇都宮地裁では7時間以上にわたり録音・録画の記録を法廷で再生。地裁は28年に「実際に体験した者でなければ語ることのできない内容だ」と無期懲役を言い渡した。

しかし、東京高裁は30年の控訴審判決で、無期懲役を維持しつつ、録音・録画で犯罪事実を直接的に認定したのは違法と判断。「自発的であっても虚偽供述の可能性が見落とされる危険性がある」とした。

今回、岡山地裁がまず反訳書を証拠採用したのも、映像が裁判員に与える直接的な影響を踏まえたものとみられる。

これに対し、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「映像は表情や語り方など非言語的要素もくみ取ることができるベストエビデンス」とした上で、「なぜあえて文字化して情報量を少なくするのか。全ての証拠を提示した上で裁判員に判断を委ねるべきだ」と疑問を呈した。

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