【主張】岸田新内閣 実行力こそ問われている 総裁選の約束を明文化せよ - 産経ニュース

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岸田新内閣 実行力こそ問われている 総裁選の約束を明文化せよ

初閣議を終え、岸田文雄首相(前列中央)とともに記念撮影に臨む新閣僚ら=4日午後、首相官邸(納冨康撮影)
初閣議を終え、岸田文雄首相(前列中央)とともに記念撮影に臨む新閣僚ら=4日午後、首相官邸(納冨康撮影)

衆参両院で自民党の岸田文雄総裁が第100代首相に指名され、宮中での親任式などを経て、内閣を発足させた。

所信表明演説と各党の代表質問を行い、会期末の14日に衆院解散の運びだ。衆院選は「19日公示、31日投開票」とする方針だ。

岸田氏は4日、「首相指名を受けて、これからが本当の意味でのスタートだ。強い思い、強い覚悟で臨みたい」と、その意気込みを語った。

日本は国難のさなかにある。菅義偉前首相が就任から1年で退陣した理由として、新型コロナウイルス禍に対処する際の発信力、説明力不足が挙げられた。

若手の登用を歓迎する

これを意識したのか、岸田氏は「私は人の話を聞くことが誰よりも優れている」と繰り返し、「チーム力」も誇ってきた。聞き上手は美質だが、危機の時代の宰相はそれだけでは務まらない。

国民の願いと時代の要請を踏まえつつ、閣僚や与党幹部をリードし、現代日本に必要な政策を立てて果敢に実行していく力の発揮が求められる。そのための「強い思い、強い覚悟」が必要だ。

新内閣は20人の閣僚のうち初入閣が13人で、当選3回の若手を3人抜擢(ばってき)した。女性閣僚は3人だ。最近の自民は若手議員の割合が増している。若手や女性の積極的登用が、政府や党の活性化につながるなら歓迎できる。

新型コロナと安全保障という2つの国難に新たな顔ぶれで取り組まねばならない。

コロナ対策に当たってきた首相、官房長官、厚生労働相、コロナ対策担当相、ワクチン担当相は全て内閣を去った。

政治が立ち止まることは許されない。効果的な対策を強力かつ速やかに講じ続けてほしい。コロナ対策が失敗したとみなされて菅前内閣の支持率は低下した。その轍(てつ)を踏んではならない。

菅前首相はワクチンの1日100万回接種の実現を主導した。政府内や医療界には懐疑的な見方もあったが、政治力で押し切った格好だ。前政権には、こうした見ならうべき点もあった。

中国や北朝鮮の脅威から国民を守り抜くことも、一日たりともおろそかにできない。

安全保障は前政権からの継続的な対応が欠かせない。茂木敏充外相と岸信夫防衛相の再任で、安倍晋三、菅両政権の安全保障政策の継承を望む。

中国を念頭に経済安全保障担当相を新設し、党で甘利明幹事長とともにこの問題に取り組んできた小林鷹之氏を起用したのは妥当だ。日本の成長と安全保障を確かなものとしてほしい。

不安材料もある。

危機に際しては首相官邸の対応や判断が重要だ。機密情報も提供される国家安全保障会議(NSC)に、岸田首相と官邸の主要メンバーは近年、関わってこなかった。国家安全保障局(NSS)や外務、防衛両省、警察などからのブリーフィングを十分に受け、安全保障分野の知見と官邸の対応力向上を図るべきだ。

エネ基計画の見直しを

エネルギーの安定供給は国の基である。菅前内閣は2050年までに二酸化炭素(CO2)など温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を掲げた。それには安全が確認された原発の活用が欠かせない。

だが原発に否定的な河野太郎前ワクチン担当相や小泉進次郎前環境相らは慎重姿勢を崩さなかった。政府の第6次エネルギー基本計画の素案は30年度時点で全電源の36~38%を太陽光発電などの再生エネルギーで賄うと明記した。現行の22~24%から大幅に引き上げたが、実効性には疑問を持たざるを得ない。

岸田内閣には、脱炭素と成長・国民生活の安定を両立させてほしい。安全が確認された原発の再稼働に加え、新増設などもエネ基計画に盛り込むべきだ。現実的なエネルギー政策を求めたい。

岸田首相は総裁選の論戦で、任期中の憲法改正を目指すと表明した。皇位の安定継承策に「『女系天皇』以外の方法」を求めた。国家安全保障戦略の改定に加え、敵基地攻撃能力の保有を「有力な選択肢」とした。

これらの政策を実現する意志を、国家観とともに、所信表明演説や衆院選の党公約などで明確に示すべきである。