経済界、経済安保相に「司令塔」の役割期待 - 産経ニュース

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経済界、経済安保相に「司令塔」の役割期待

大臣就任後に記者会見を行う、小林鷹之経済安全保障担当相=5日午後、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)
大臣就任後に記者会見を行う、小林鷹之経済安全保障担当相=5日午後、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)

新設された経済安全保障担当相のポストには、経済面での対中国戦略の「司令塔」の役割を期待する声が経済界からも上がる。技術・情報流出に対する危機感や、半導体など戦略物資の確保が必要だとの意識が企業にも強いからだ。もっとも、生産拠点を構える製造業などにとり中国の巨大市場としての魅力は大きく、今後の経営への悪影響を懸念する声も出ている。

「経済安保はこれから重要になってくる。その専任大臣も設けた(ことを評価する)」

経団連の十倉雅和会長は4日の記者会見で、岸田文雄内閣の布陣についてこう述べた。経済同友会の桜田謙悟代表幹事は「政府組織間に横串を通す政策執行体制、司令塔機能が実現される」と期待を示した。

パナソニック、京セラなど、中国へ進出する主要メーカーの本社が集まる関西からも「経済を安全保障のレンズを通してみる重要性が高まっている」(関西経済同友会・生駒京子代表幹事)と歓迎の声が上がる。コロナ禍により、ハイテク分野だけでなく、医療物資の安定供給も安保上の懸念となりうることが明確になったとする。同会は5月公表した提言で、経済安保への個別企業での対応は限界があり、官民一体で情報連携する必要があると訴えていた。

ただ、製造業などは中国との取引量や取引額が大きく、関係者からは複雑な本音も漏れる。

対中関係で「経済の面では分断を生むべきではない」とくぎを刺すのは富士通の時田隆仁社長。関西の電機大手関係者は「(摩擦よりも)経済交流の安定、促進に期待したい」とし、中国、韓国などからの輸入規制といった事態に発展しないでほしいと語った。

関西の製造業はとくに中国との関係が深い。りそな総研によると、製造業の売上高全体に対する中国関連取引額(現地売上高と輸出入額)の割合は全国で16・0%。中国と結びつきの強い強い関西は21・7%に達している。

貿易問題以外にも、中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区の強制労働問題を抱えた企業もある。「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長はこれまで「政治的な質問にはノーコメントだ」と話し、距離を取っている。

りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「企業は(中国などとの)取引規制を想定し、自社がどういう対応を求められるか注視している」と指摘。「政府は中国からの生産移転を支援する役割が求められる」と話した。