修学旅行解禁、宿泊先確保に苦心も「今度こそ」 - 産経ニュース

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修学旅行解禁、宿泊先確保に苦心も「今度こそ」

家族連れや修学旅行生ら観光客が行き交う京都・清水寺の参道=3日午後、京都市東山区(永田直也撮影)
家族連れや修学旅行生ら観光客が行き交う京都・清水寺の参道=3日午後、京都市東山区(永田直也撮影)

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が9月末で解除されたのに伴い、宣言発令地域で「原則延期」とされていた修学旅行が解禁された。今年度に入って宣言が繰り返された地域では、修学旅行の可否はタイミングと行き先次第。当初の計画通りに実施できた学校もあれば、複数回の延期を余儀なくされたところも多く、現場からは実現の見通しが立ったことへの安堵(あんど)の声が漏れる。

「今度こそ行けそうだ」。大阪府の公立中学校の校長は胸をなでおろす。同校では当初、5月に2泊3日の修学旅行を計画していたが、8月までに3回、延期を繰り返した。

「高校受験を考えれば、11月前半が期限」と校長。8月の時点で、10月は既に他校の予約で宿泊施設が確保できず、11月も混雑。このため日程を2泊から1泊にしてようやく、11月上旬に予約が取れた。今年は修学旅行が秋に集中しており、同様に宿泊先の確保に苦心する学校が多いという。

大阪府は8月2日に4度目の緊急事態宣言が発令された際、感染対策を徹底したうえでの修学旅行を認めていた。大阪市も府の判断に準じており、8月には市立中学4校が実施を計画。だが3校は行き先の自治体から直前に受け入れを断られ、実現できたのは1校だけだった。

宣言が延長された9月1日以降、感染力が強いデルタ株によって子供への感染リスクが高まったことなどから大阪市は「原則延期」と判断し、市内では9月中の実施を計画していた市立小中学校142校が延期を余儀なくされた。

大阪府、京都府、兵庫県の3府県では今年度、2回にわたって宣言が発令された。京都市教育委員会によると、宣言の合間に当初の予定通りに実施できた学校がある一方、延期を繰り返した学校もあったといい、担当者は「計画のタイミング次第で状況に差が生まれてしまった」と話す。

4時間ごと検温、黙食に黙浴…厳戒

緊急事態宣言は解除されたが、新型コロナウイルスの新規感染者は連日発表されている。大人数で他府県を訪れる修学旅行には、十分な感染防止対策が求められそうだ。

8月に中部地方への修学旅行を実施した大阪市立菫(すみれ)中学校(同市城東区)では、厳戒ともいえる感染防止策を取った。まず事前に、旅先の保健所や病院に、生徒らが発熱した場合の受け入れの可否を確認。出発前に、生徒と引率教員計約270人全員のPCR検査を実施した。

大阪市立菫中学校の修学旅行。バス車内ではマスクとフェースシールドを着用し、会話は禁じられた(同校提供)
大阪市立菫中学校の修学旅行。バス車内ではマスクとフェースシールドを着用し、会話は禁じられた(同校提供)

移動するバスの車内ではマスクとフェースシールドを着用し、会話と間食を禁止。このほか、こまめな手の消毒と4時間ごとの検温▽住民との接触を避け、宿泊先を除き行き先は全て景勝地などの屋外▽食事は「黙食」、風呂は「黙浴」▽宿泊は1部屋2~4人で就寝時以外はマスクを着用▽使用済みマスクは持ち帰る-と対策を徹底した。

緊急事態宣言下だったが、約270人の宿泊先を再び確保するのが難しく、8月に実施できなければ中止せざるをえなかった。大阪市は当時、修学旅行を認めており、「生徒の利益を最優先に考えれば、正当な根拠なく中止にすべきではない」と判断したという。

旅行中もその後も、体調不良を訴える生徒はいなかった。箕輪正秀校長は「修学旅行は友人と寝食を共にすることで、協調性や自制心などを高める重要な教育活動。生徒は高い意識をもって感染防止対策に取り組んでくれた。子供たちの楽しそうな顔を見て、実施してよかったと心から思った」と話した。(藤井沙織)