大手電力、東南アジアに出資攻勢 JERA・中部電 - 産経ニュース

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大手電力、東南アジアに出資攻勢 JERA・中部電

JERAが出資を決めたフィリピンの電力大手アボイティス・パワーが運営する地熱発電所(JERA提供)
JERAが出資を決めたフィリピンの電力大手アボイティス・パワーが運営する地熱発電所(JERA提供)

日本の電力会社が、東南アジアの電力ビジネスへの関与を強めている。東京電力ホールディングスと中部電力が共同出資するJERA(ジェラ)はフィリピンの電力大手アボイティス・パワーに、中部電はベトナムで水力発電を中心に再生可能エネルギー事業を展開するビテクスコ・パワーに、それぞれ出資する。経済発展に伴い電力需要の伸びが見込まれる現地の成長力を取り込むのが主眼だが、低炭素化や脱炭素化を後押しして新たな商機を探る狙いもある。

「ダイベストメント(投資撤退)や融資の停止だけでは、脱炭素社会の実現や世界のエネルギー問題の解決は困難で、大手企業に直接参画するインボルブメント(関与)が重要だ」

JERAの小野田聡社長は9月27日の記者会見でこう強調した。約15億8000万ドル(約1750億円)を投じて、フィリピンのアボイティスの株式の約27%を取得する。今年度中の取得完了を見込む。アボイティスは、建設中を含めて約460万キロワットの発電設備を持ち、同国の電力供給の約2割を担う大手。JERAにとっては平成27年の設立以来最大の海外投資案件となる。

JERAは、化石燃料の中では環境負荷が相対的に小さい液化天然ガス(LNG)の取扱量で世界最大級の規模を誇る。今回のアボイティスへの出資を通じて、フィリピンではまだ導入されていないLNG火力発電所の開発に加え、LNGの調達面でも協業を検討する。日本国内で技術開発を進めている、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない水素やアンモニアを燃料とする火力を将来的に現地で導入することも視野に入れる。

また、中部電は今年中にも、ベトナムのビテクスコの株式の20%を取得する。投資額は明らかにしていないが、数百億円規模とみられる。ビテクスコはベトナムで水力発電所21カ所と太陽光発電所1カ所を運営する同国最大規模の民間再生エネ事業者。中部電がベトナムに事業基盤を持つのは初めてという。

共通する背景は、経済成長を背景に、現地では今後も旺盛な電力需要の拡大が見込まれていることだ。JERAや中部電の説明によれば、2030(令和12)年までの年平均で、フィリピンでは4.2%、ベトナムでは8.5%の電力需要の伸びが予想されている。海外投資で「成長力を取り込む」(中部電の伊藤彰英アジア・アフリカ事業グループ長)ことで、新たな収益源に育てていこうというわけだ。

一方、東南アジアでは、電力供給を火力に頼る国が多い中でも、脱炭素化に向けて再生エネの導入を拡大しようとする動きが出ている。中部電の林欣吾社長は「ビテクスコへの出資を通して得られた知見を活用し、アジアの他の国々でも再生エネ発電事業を精力的に展開することで、脱炭素化の取り組みを強化していく」と強調。脱炭素化の動きを新たな商機と捉える。(森田晶宏)