〈独自〉拉致啓発へ決議案 大阪府議会、全国初

大阪府議会で大阪維新の会など主要3会派が、北朝鮮による拉致問題の啓発活動を推進する決議案を開会中の9月定例会に共同提案することが3日、関係者への取材で分かった。若い世代の理解を深めるため、関連アニメの上映などに積極的に関与する姿勢を打ち出す。今月中に採択した後、府内全市町村議会での決議採択も視野に入れており、被害者奪還の機運を全国に波及させる狙いがある。

政府の拉致問題対策本部などによると、拉致問題の啓発を目的とした地方議会での決議は全国初となる。

決議案は府内超党派の地方議員でつくる「北朝鮮拉致問題の解決を促進する大阪地方議員連絡会」(大阪拉致議連)が作成し、「北朝鮮による日本人拉致問題に対する理解を深めるための取り組みを推進する」と明記した。

具体的には、若年層向けに被害者の横田めぐみさん(56)=拉致当時(13)=を題材にしたドキュメンタリーアニメ「めぐみ」を上映したり、中高生が政府主催の北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールに参加したりすることを挙げ「積極的に関与する」必要性に言及した。

府議会では維新と自民、公明両党が4日に決議案を共同提出する予定。少数会派の賛同を得られれば、今月中にも全会一致で採択する見通し。

議連は府議会での採択を足がかりに、府内外での機運醸成を図る考え。議連には府議会と38市町村議会に所属する300人以上の議員が参加しており、参加議員がいない阪南市など5市町議会にも働きかけ、全43市町村議会での決議採択を目指す。

議連幹部は「拉致問題は一刻も早く解決しなければならない。地方議員として責任を持って啓発活動に取り組む意志を示す」と強調。「他府県に同様の決議が広がれば、政府外交を後押しすることにつながる」と意義を述べた。(尾崎豪一)

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