【ビブリオエッセー】「誰かのために」という覚悟 「満州 奇跡の脱出―170万同胞を救うべく 立ち上がった3人の男たち」ポール・邦昭・マルヤマ著 高作自子訳(柏艪舎) - 産経ニュース

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「誰かのために」という覚悟 「満州 奇跡の脱出―170万同胞を救うべく 立ち上がった3人の男たち」ポール・邦昭・マルヤマ著 高作自子訳(柏艪舎)

皆さんは「仲間」と聞いて誰を思い浮かべますか。まず友達の顔などを思い浮かべるでしょうね。私にはこの他にも仲間だと思える人たちがいます。それは自分を支えてくれている人たちのこと。一冊の本との出会いがきっかけでこんなことを考えるようになりました。

『満州 奇跡の脱出』というノンフィクションです。内容を簡単にまとめると、太平洋戦争終戦の直前にソ連軍が侵攻して大混乱した満州の地に取り残され、生きる希望を見いだせなくなった日本人170万人を助けるために奮闘し、多くの同胞、つまり仲間たちの命を救った勇気ある男たちの物語です。

主人公は丸山邦雄ら3人。略奪や暴力がはびこる中で監視の網が張り巡らされた満州を脱出し、次は同胞たちを救うため日本政府や占領軍の偉い人たちを説得し、再び満州に戻って大変な目にあいながらも全力で粘り強く、脱出という困難な計画をやり遂げました。

僕はこの本を受験勉強に励んでいた小学6年の時に読みました。ストレスや不安感に襲われて、なんのために頑張っているのかわからなかった僕に一筋の光を見いださせてくれました。

自分のためではありません。同じ日本人であること、同じ満州という地にいたこと、その共通点だけで他人のために自分の命も捨てる覚悟で信念を貫いた日本人がいたことを誇りに思います。それは同時に、目の前の受験という問題しか考えられなかった自分が周りの人たち、毎日支えてくれている両親やともに競い合い、高め合う同級生、頼りになる先生など多くの人たちのことを思うきっかけになりました。

誰かのためにも頑張る。忘れかけていた仲間という存在に気づかせてくれたこの本は、今も大切な一冊です。

東京都調布市 小峰新汰(14)

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