岸田政権、経済好循環へ停滞打破が不可欠 - 産経ニュース

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岸田政権、経済好循環へ停滞打破が不可欠

第100代首相に選出され祝福に応える自民党の岸田文雄総裁=4日午後、国会・衆院本会議場(春名中撮影)
第100代首相に選出され祝福に応える自民党の岸田文雄総裁=4日午後、国会・衆院本会議場(春名中撮影)

4日発足した岸田文雄政権は格差是正に焦点を当てた「新しい資本主義」を打ち出し、第2次安倍晋三政権の経済政策アベノミクスでも道半ばの成長と分配の好循環を実現したい考えだ。ただ、経済全体の規模が変わらないまま再分配するだけでは、富裕層の負担強化ばかり注目され、社会の活力をそぎかねない。政策実現には、長期停滞が続く日本の潜在的な成長率を併せて引き上げる必要がある。

首相は「小泉改革以降の新自由主義的政策」の転換を宣言し、構造改革路線のひずみとして生み出された「格差と分断」の解消に努める方針を宣言している。

近く編成を指示する「数十兆円規模」の追加経済対策では、コロナ禍で影響を受けた企業には事業規模に応じた給付金、困窮している非正規社員や子育て世帯などに絞った現金給付も検討。弱者の所得底上げを図ることで疲弊した中間層の再構築を図りたい考えだ。

新政権が再配分政策を重視するのは、アベノミクスの経済成長が株高や雇用環境の改善に留まり、所得格差縮小に結びつかなかったことへの問題意識がある。

日経平均株価は第2次安倍政権発足時(平成24年12月26日)の終値1万230円36銭が足元で2万9千円前後に上昇し、完全失業率もコロナ前には2%台前半のほぼ完全雇用を実現。だが、非正規雇用も同時に増えたことで、この9年近くの間、労働者1人当たりの平均賃金を示す現金給与総額はほとんど変わらない。

一方、所得再分配に向けた金融所得課税の見直しは市場を警戒させ、富裕層の旺盛な消費意欲に水を差し景気回復を遅らせる懸念もある。デジタル化の遅れなど生産性低迷で日本の潜在成長率は長年0%台にとどまり、「既存の(経済の)パイを分け合う視点も大事だが、パイのサイズを大きくすることを優先すべき」(みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト)とも指摘される。

新政権は追加経済対策で半導体や先端科学技術など成長分野への投資も強化する構えで、アベノミクスでも目立った成果が上がらなかった成長戦略に力を入れられるかが問われている。(永田岳彦)