医療・検査体制強化へ 第6波の備え急務

岸田文雄首相にとって、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の解除を受けて始まった行動制限の緩和を着実に進め、社会経済活動を軌道に乗せることは、最大の課題といえる。そのためにも医療提供体制の拡充など「第6波」への備えは欠かせない。

首相が自民党総裁選の公約に「医療難民ゼロ」を掲げたのは、第5波で入院できずに死亡するケースが相次いだことが大きい。臨時医療施設を確保すると同時に、新型コロナ以外の一般医療と両立できる医療人材の活用の仕組みを構築する必要がある。年内の経口薬の普及も目指しており、実現すれば医療機関の負荷の軽減が期待できる。

検査体制の強化も不可欠だ。希望する全国民にワクチンが行き届いても、一定の割合で接種をしない人は残るとみられるからだ。首相は「無料PCR検査所の拡大」を訴えている。公費で負担する行政検査の対象範囲をどこまで拡大するかを改めて検討することになりそうだ。

感染が拡大した際の人流抑制の強化について、首相は法改正に前向きだが、「日本にふさわしい強力な人流抑制の在り方を考える」と語っており、欧米で行われたようなロックダウン(都市封鎖)は想定していない。具体策の提示が急がれる。

足元の課題は多岐にわたり、司令塔機能を持つ「健康危機管理庁」の創設は中長期的課題になる可能性がある。(坂井広志)