「被災地に目を向けて」 東北から期待と注文

親任式に向かうため、官邸を出る第100代首相に選出された自民党の岸田文雄総裁=4日午後、首相官邸(納冨康撮影)
親任式に向かうため、官邸を出る第100代首相に選出された自民党の岸田文雄総裁=4日午後、首相官邸(納冨康撮影)

「被災地にも目を向けて」「経済回復の道筋を」-。自民党の岸田文雄総裁(64)が4日、衆参両院本会議の首相指名選挙で第100代首相に選出されたことを受け、東北各地からは期待と注文の声が寄せられた。

東日本大震災で妻子ら家族4人を失い、語り部活動を続ける宮城県多賀城市の佐々木清和さん(54)は、岸田首相に対し「新型コロナウイルス禍で東京五輪も復興五輪としての姿が見えてこなかった。新政権にはしっかりと被災地にも目を向けてほしい」と要望した。また、「大きな災害はいつ起こってもおかしくない。しっかりとアンテナを張り巡らせて、災害に対処してもらいたい」と注文をつけた。

8月の大雨で下北半島の大動脈・国道279号が通行止めとなり一時、孤立状態となった青森県風間浦村の下風呂温泉郷。「さが旅館」の女将、佐賀典子さん(68)は「下北半島は原発もあり、今回のような災害があった場合に陸の孤島となる。早急に道路網を構築してほしい」とインフラの整備を強く求めた。同温泉郷は長引く新型コロナの影響で客足も落ち込んでいる。佐賀さんは「これから紅葉の時期を迎える。政府には経済を回す仕組み、道筋を示してもらいたい」と要望した。

岩手県陸前高田市の村上製材所社長、村上富夫さん(73)は、震災の津波で兄夫婦をはじめ多くの知人を亡くした。村上さんは「被災地には高速道をはじめ、立派なインフラが整備された。しかし、復興にうまく活用されていない。このインフラを上手に活用できる政策の充実を望みたい」と話した。

山形県鶴岡市の無職、亀井伍郎さん(74)は「新型コロナの影響で停滞した経済の復活をお願いしたい」とした上で「国家として当然必要な組織である自衛隊の存在を、憲法に明記してほしい」と期待した。

福島県相馬市の和田観光苺(いちご)組合では、東日本大震災の津波と令和元年10月の豪雨で施設が浸水し、今年2月の福島県沖地震でも被害を受けた。斎川一朗組合長(73)は「(岸田首相に)一番期待したいのは、震災復興に関わること」と強調。「福島は原発事故による風評被害が続いている。処理水の海洋放出も影響が心配だ」とした上で、「今も苦しんでいる被災地に足を運んで、地元の話を聞いてほしい」と訴えた。