話の肖像画

出井伸之(4)写真、オーディオ…早稲田で過ごした学生時代

早大を出てプロのカメラマンになる人は少なくありません。写真部の部長になれば、自分もその一人になるのは見えていました。「写真は撮るよりも撮られる方が好きです」なんて冗談を先輩に言ったら、「生意気だ」と言われたこともありました。自分の作品が日本経済新聞に掲載されたこともあります。親猫が子猫の首をくわえて世話しているところや、七五三のお祝いをしてもらっている子供の写真です。

早大と慶応大の写真部が毎年、一緒に展覧会を開いているのですが、そこには今でも作品を出しているんですよ。外国に出張するときには、必ずカメラを持っていきます。

ローマ時代の遺跡「コロッセオ」(円形闘技場)では、座っている老人のそばで猫が丸くなって寝ている写真を撮りました。インドネシアでは寺院の向こう側から昇ってくる朝日を撮りました。ストーリーがあって、時間の動きを感じられるような写真が好きなんです。


《オーディオにも夢中になった。この時の経験がソニーでの仕事にも生きてくる》


高校生のころ、LPレコードがはやっていて、僕は秋葉原の電気街に通うオーディオ少年でもあったんです。スピーカーボックスを設計して、中のコイルや(高音質に変える)キャパシタを買ってきては、自分で組み立てていました。後にソニーで文系出身者として初めてオーディオ事業部長になったときには、「そういえば昔からこれ、やっていたな」と思い出しましたね。

高校は私学だったので授業にも第二外国語があり、僕はフランス語を勉強しました。大学の授業ではいい先生が教えに来てくれていました。1時間の筆記試験を15分ぐらいで終わらせるなど、自分には語学の才能があると思っていましたね。実は2年ほど前から、またフランス語を習っています。

今から考えると、学生時代はいろんなことに挑戦していましたね。自分が何に向いているのか見つけようと思って、好きなことは何でもやってみたのだと思います。(聞き手 米沢文)


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