露、岸田新政権で平和条約交渉の進展望み薄

モスクワ国際関係大のストレリツォフ東洋学部長(小野田雄一撮影)
モスクワ国際関係大のストレリツォフ東洋学部長(小野田雄一撮影)

ロシアの主要メディアは4日、岸田文雄政権の発足を一斉に報じたが、事実関係の報道が中心で、停滞する日露平和条約交渉への言及は目立たなかった。国営ロシア通信は北方領土問題について、岸田氏は4島返還を目指す意向を示しており、実質的な2島返還路線をとった安倍晋三元首相の「現実直視外交」とは異なると指摘。一般の日本国民は4島返還を「夢想的だ」と考えていると伝えた。

ロシアを代表する日露関係研究者で、モスクワ国際関係大のストレリツォフ教授は産経新聞の取材に、日露とも北方領土が自国領であるとの立場を放棄することはないと指摘。「交渉は打ち切りにはならなくとも空転が続き、変化は起きないだろう」とし、岸田政権下でも交渉の進展は望めないとの見通しを示した。

ストレリツォフ氏は、日本では競争を重視する自由主義の加速や積極的な移民受け入れといった政策に拒否感が強まっており、「現在の日本人は安定や将来の確実性を求めている」とみる。国内市場の保護など「中道左派」の路線をとることへの期待が岸田氏を首相に押し上げたと分析した。(モスクワ 小野田雄一)