若者への拉致啓発推進 「めぐみ」上映、積極関与 - 産経ニュース

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若者への拉致啓発推進 「めぐみ」上映、積極関与

北朝鮮による拉致問題の啓発強化に向け、大阪府議会で大阪維新の会など主要3会派が、北朝鮮による拉致問題の啓発活動を推進する決議案を共同提案することになった。北朝鮮が日本人拉致を認めて謝罪した平成14年9月の日朝首脳会談をリアルタイムで知らない小中高生らが理解を深める上で、専門家は、国より身近な地方議会が担う役割の重要性を指摘する。教育活動を通じていかに被害者奪還の機運を高め、解決につなげるか。被害者とその家族の高齢化を考えれば、時間との戦いでもある。

「大阪モデル」全国に

「拉致問題の啓発を推進する決議は、われわれ自身の意思表示だ。政府に解決を求める今までの意見書とは次元が違う」。府内の超党派の地方議員で構成する「大阪拉致議連」の幹部はこう強調する。

支援組織「救う会」によると、全国には43の拉致議連があり、なかでも大阪は会員が300人を超え、有数の規模を誇る。府内44議会での決議採択を目指すにあたり、市町村議員が参加している点は強みだ。

救う会の西岡力(つとむ)会長は「拉致問題は義務教育の段階から取り上げるべきで、市町村議会は義務教育を担う各自治体の行政をチェックする役割がある。今回の動きを『大阪モデル』として全国に広げてほしい」と期待を寄せる。

採択後は府や市町村への働きかけを通じ、児童生徒らが拉致被害者の横田めぐみさん(56)=拉致当時(13)=を題材にしたアニメ「めぐみ」を視聴したり、政府主催の作文コンクールに参加したりするなど、理解促進の取り組みを後押しする。

横田めぐみさんを題材にしたドキュメンタリーアニメ「めぐみ」(政府拉致問題対策本部提供)
横田めぐみさんを題材にしたドキュメンタリーアニメ「めぐみ」(政府拉致問題対策本部提供)

啓発推進の動きは大阪以外でも。福岡県行橋(ゆくはし)市では市議会が主導し、30年度から「めぐみ」の視聴を市立小中学校のカリキュラムに組み込んだ。東京都足立区議会は今年7月、地方議会として全国初の啓発推進条例を全会一致で可決。区は大学などに拉致問題を周知するポスターの掲示を依頼し、認知度の向上を図っている。

「気概ある教員増えて」

昨年10月の内閣府調査では「北朝鮮への関心事項」(複数回答可)に「日本人拉致問題」を挙げた人は83・3%に上る一方、年代別では30~39歳と18~29歳がいずれも70%台で、30代以下が相対的に低かった。

こうした状況の中、政府と連携し、教員を目指す学生が拉致問題対策本部職員の講義を受けたり、拉致現場を視察したりする事業に参画した大学も。令和元年度は福井大、2年度は京都教育大が対象となった。また、近畿大短期大学部(大阪府東大阪市)では今年度、新入生向けに「めぐみ」を上映するとともに、めぐみさんの同級生のビデオメッセージも流し、学生同士が意見交換した。

担当した頭師暢秀(ずし・のぶひで)准教授によると、長年支援活動を続ける同級生の訴えにその場で泣き出す学生もいたという。「(拉致被害者5人が帰国した)平成14年に生まれていない学生がほとんどで、インパクトが強かった。学生たちは『こんなにひどいことだったのか』と新たな理解をしていた」と振り返る。

一方、教育現場では北朝鮮に対する漠然とした恐怖や、在日朝鮮人への差別を助長しないかといった懸念もあるという。頭師准教授は「差別を生まないための配慮は必要だが、拉致被害者とその家族には時間がない。各地で拉致問題を人権教育として取り上げる気概ある教員が増えてほしい」と訴えた。(尾崎豪一)