天神ビジネスセンター 天神ビッグバン規制緩和第1号

「天神ビッグバン」をはじめ、福岡市の高島宗一郎市長が旗をふる一連の都心再開発は、この状況からの脱却を狙ったものだ。高島氏は「単なるハードの建て替えではない。(入居企業という)ソフトを高付加価値に新陳代謝し、より多くの夢が実現できる街になることが重要だ」とする。

天神ビジネスセンターは、国家戦略特区を活用した規制緩和によって福岡都心部では歴史上にない高さと容積率を得た。ワンフロアあたりの面積は九州では最も広く、デザインや機能性などハード面は洗練されている。ただそれ以上にテナント誘致に心を砕いた。在京企業や外資系など約30社の入居が決まっている。

シェアオフィスなどを手掛けるソーシャルワイヤーはその1社だ。アジアのスタートアップ企業とも深いチャンネルを持つ同社の施設は、国内外20社程度の利用が決まっているという。福岡市では、創業支援施設「福岡グロースネクスト」(FGN)などを拠点に起業家育成に取り組み、政令指定都市では屈指の開業率の高さを誇る。高島氏は「FGNから生まれた卵が育ち、大きくなって高付加価値企業となったものが集積できる場所があることが大事だ」と語る。

榎本氏は、九州大学など地元大学の卒業生が九州域外に流出していく現状に対し「福岡で(業務内容や待遇上での)夢がかなうなら彼らは残る。優秀なプレーヤーも集まってくる」とした上で、「天神ビジネスセンターで働く5千人が、夢をかなえる姿が起爆剤になると信じている。東京でも、世界でも生めない価値を創出する努力をせいいっぱい支えたい」と力を込めた。(中村雅和)