安藤政明の一筆両断

「45歳定年」という表現の衝撃

サントリーホールディングスの新浪剛史社長の「45歳定年」発言が、いわゆる「大炎上」しました。おそらく新浪社長も想定外の大炎上だったのでしょう。翌日には「定年」という言葉を使ったのが、まずかったかもしれないと説明しています。

定年という言葉のイメージは、ズバリ「定年退職」でしょう。転職のためなど前向きな退職ではなく、そのまま隠居するようなイメージじゃないでしょうか。だから、批判的な意見が噴出したと思います。新浪社長も、すぐに言葉の選択を誤ったと感じたのだと思います。

内閣府が9月24日に『年次経済財政報告』を公表しました。同報告において、東日本大震災後の日本の課題とされた「6重苦」のうち、二つが未解決だと分析しています。その未解決の一つが、「労働市場の硬直性」です。労働移動を通じた産業、業種構造の転換などの前向きな労働移動を阻害する硬直性が残ると指摘しています。日本の国際競争力の視点から、成長分野の産業への労働移動が求められているのです。

大学新卒22歳から65歳まで、43年もあります。45歳は、ちょうどその中間点あたりですね。45歳くらいまでに、自発的に勉強や経験を積み重ねて、そのまま同じ企業で貢献するか、成長分野の産業に移って力を発揮するか、選択肢があることを前提に準備できるといいですね。新浪社長は、前向きな労働移動を促進することを視野に、一つの目安として「45歳定年」と発言したのだと思います。ただ、「定年」という言葉のイメージが大いに誤解を与えることになってしまったというところでしょう。