主張

尖閣の標柱設置 政府の不許可は間違いだ

沖縄県石垣市が尖閣諸島(同市)の字(あざ)名などを刻んだ標柱をつくり、それらを設置するため上陸許可を申請したが、政府は不許可を決定し、同市に通知した。

標柱の設置は、尖閣諸島を市域に含む石垣市として当然の行政措置だ。日本の自治体に正当な行政行為を認めない政府の判断は間違っている。尖閣諸島を奪おうと狙っている中国の反応に気兼ねしているのだとすれば情けない。

政府は誤った判断を改め、石垣市に上陸を認めるか、同市に代わって標柱を設置すべきだ。

石垣市は昨年、尖閣諸島の字名を「石垣市登野城(とのしろ)」から「石垣市登野城尖閣」に変更した。登野城の字名は石垣本島にもあり、混同を避けるためだ。標柱設置は字名変更に伴う一連の行政措置だ。

ところが政府は9月28日、上陸を認めないと石垣市に通知した。理由は「尖閣諸島の安定的な維持管理のため、原則として政府関係者を除き尖閣諸島への上陸を認めない方針」だからという。

石垣市が行政措置をとれずしてどこが「安定的な維持管理」なのか。市の対応が中国などへの挑発行為になるとの見方が一部にあるが、全く当たらない。標柱設置は今回が初めてではない。

昭和44年に石垣市は、当時の市長が魚釣島など5島に上陸して、それぞれコンクリート製の標柱を建てた。そこには変更前の字名が刻まれている。新しい標柱に交換しなければ、かえって行政の不作為を問われる。

今年2月に施行された中国海警法には、中国が管轄下と主張する海域で許可を得ずに構造物を建設した場合、強制的に除去できるとする条文が盛り込まれた。

日本政府は、尖閣諸島においてこの条文を認めるかのような姿勢を見せてはならない。石垣市の標柱設置を実現し、それを手始めに、環境調査や公務員や自衛隊員の常駐を進めるべきである。

4日に岸田文雄内閣が発足する予定だ。9月28日の石垣市への上陸不許可の通知は、菅義偉内閣のうちに、批判が予想される措置をとっておく思惑があるのかもしれない。

だが、自民党総裁選で岸田氏は、尖閣情勢を念頭に、海上保安庁の能力強化などを唱えた。新首相として岸田氏の尖閣防衛の覚悟が試されるのである。