世界自然遺産の西表島でヤマネコ交通事故死多発

観光客増で懸念も

なぜ事故死が相次いだのか。原因は不明だが、田中専門員は「7月と8月のケースを見る限り運転手に落ち度はなく、安全運転でも事故は起きてしまう」と指摘する。

懸念されるのは今後、新型コロナウイルス緊急事態宣言の解除により観光客が激増し、レンタカーなど全体的な交通量が増えることだ。

環境省や地元自治体では「持続可能な西表島のための来訪者管理基本計画」を策定し、来島者数を1日最大1230人までとしているが、事故抑止に向け、さらなる対策強化を求める声も強い。

これから11月にかけ、経験の浅い幼獣がひとり立ちする季節となり、事故の危険も増える。

田中専門員は「ヤマネコが道路に飛び出してくるかもしれないという意識を常に持ちながら、安全運転を徹底してほしい」と強調。万一事故を起こした場合などはすぐに連絡するよう、呼び掛けている。

このほかイリオモテヤマネコの保護に向け、目撃情報を幅広く求めている。連絡先は環境省西表野生生物保護センター(0980・85・5581、メールアドレスRO-IRIOMOTE@env.go.jp)。事故や傷ついたイリオモテヤマネコを見つけた場合は夜間も対応している。

イリオモテヤマネコ】 沖縄県竹富町の西表島だけに分布するヤマネコで、体重3~4キロ、体長(頭胴長)50~60センチ。主に夜間に活動し、クマネズミなどの小型哺乳類や鳥類、トカゲ、カエル、昆虫など多様な生物を捕食する。平成17~19年度調査による推定個体数は100~109頭だが、交通事故などにより減少傾向という。昭和52年に国の特別天然記念物に、平成6年には国内希少野生動植物種に指定され、保護が図られている。