少ない1位指名公言 見極め続く今年のドラフト

ドラフト会議で上位指名が予想される市和歌山高の小園健太(左)と天理高の達孝太
ドラフト会議で上位指名が予想される市和歌山高の小園健太(左)と天理高の達孝太

プロ野球ドラフト会議が今年は11日午後5時から開催される。昨年は近大のスラッガー、佐藤輝明(現阪神)と早大の本格派左腕、早川隆久(現楽天)に4球団ずつ指名が競合し、即戦力重視の傾向が強かった。今年は目玉となる選手は少ないものの、1位候補として名前が挙がるのは高校生投手が多いのが特徴だ。昨年に続いて新型コロナウイルス禍でスカウト活動には制限があったため、将来性重視か即戦力重視か、各球団の眼力が問われるドラフトになる。

「夏」より「春」

今回のドラフトに向け、高校生は159人、大学生は139人がプロ志望届を提出した。1位候補として名前が挙がる高校生投手で、完成度が最も高いといわれているのが市和歌山高の小園健太。夏の甲子園大会出場は逃したが、春の選抜大会では最速152キロのストレートを軸にツーシーム、チェンジアップ、カットボールなどを制球よく投げ分ける投球術を披露。既に12球団から調査書が届いており、プロのスカウトからも「変化球の精度が高く、まだまだ伸びしろも感じる」と高い評価を集めた。

小園以外にも、有力候補には地方大会で敗れ、今夏の甲子園には出場できなかった選手が多い。天理高(奈良)を選抜4強に導いた達(たつ)孝太はスケールの大きさでは随一。193センチの長身から伸びのある球を投げ込み、球の回転数を数値で把握するなど、研究にも熱心だ。

高校3年間で一度も甲子園の土を踏めなかった高知高の森木大智は、150キロ超のストレートに威力があり、本格派右腕として将来性を重視する球団から評価を集めている。そのほか、選抜で4強入りに貢献した中京大中京高(愛知)の畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)、左腕では春の甲子園を制した東海大相模高(神奈川)のエース石田隼都(はやと)も夏の甲子園出場を逃したが、上位指名候補に名前が挙がっている。

一方、夏の甲子園で評価を上げたのがノースアジア大明桜高(秋田)の風間球打(きゅうた)。スピンの効いた真っすぐの最速は157キロを誇り、「潜在能力の高さを感じる」と話すスカウトが多い。

大学生が少ない要因は

今年のドラフト会議は、選手の進路の選択肢を増やしたいアマチュア側の要望で、昨年より2週間早く開催される。コロナ禍で東京六大学など大学の秋季リーグ戦の開幕が遅れるといった影響もあり「大学生の選手を実戦で十分に見ることができていない」との声も聞かれる。上位指名候補としてまず高校生の名前が挙がる要因にもなっており、各球団とも指名選手の見極めや絞り込みは例年以上に慎重になっているとみられる。

そんな中でも、大学生投手は左腕に即戦力候補がそろっているのが特徴だ。西日本工大の隅田知一郎(ちひろ)は6月の全日本大学選手権で8回14奪三振とインパクトのある投球を披露。同選手権で関学大の57年ぶり勝利に貢献した黒原拓未は最速151キロの力のある直球に加え、キレのあるスライダーも武器だ。法大の山下輝(ひかる)は身長188センチ、体重100キロの恵まれた体格から、重いストレートを投げ込む。

大学生野手は慶大の正木智也が右のスラッガー候補。大学選手権では2本塁打を放った。駒大の鵜飼航丞(こうすけ)、上武大のブライト健太も右の強打者。ブライトはガーナ人の父を持つハーフで、俊足も持ち合わせている。

直前まで駆け引き

社会人の投手では、三菱自動車倉敷オーシャンズの速球派右腕、広畑敦也が150キロ超のストレートと豊富なスタミナで高い評価を受ける。三菱重工Westの森翔平、JR東日本の山田龍聖の両左腕も総合力が高い。

昨年は高校野球がコロナ禍で春夏とも甲子園大会が中止。高校生がアピールできる場が少なかった影響もあってか、高校生の上位指名が少なかった。今年は練習の視察にはまだ制限はあったが、スカウトも実戦での高校生の力量を測ることができている。

前評判通りに高校生に1位指名が集まるのか、重複指名を避けて大学・社会人の即戦力を狙うのか-。まだ1位指名を公言している球団は少なく、他球団の動向を見極めながら、直前まで駆け引きが繰り広げられそうだ。 (ドラフト取材班)