【熊木徹夫の人生相談】失恋から立ち直れません - 産経ニュース

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熊木徹夫の人生相談

失恋から立ち直れません

イラスト・千葉真
イラスト・千葉真
相談

20代、女性会社員。数カ月前に失恋しました。生きてきた中で一番つらい出来事です。

彼とは約9カ月間、お付き合いをしました。直前のデートでは一緒に桜を見に行ったのにその2日後、突然、電話でも会うのでもなく、LINEで別れを告げられました。

電話をかけたら、恋人とは思えないような冷たい態度で、それまでは私を名前で呼んでいたのに「君」と呼び、「努力してください」「(出会い系の)アプリをやれば?」と言われ、わたしのもとから低い自尊心が傷つきました。今まで親しくしていたとは思えない冷たい態度がとてもつらく、それと同時に腹も立っています。何とかこのつらさを抜け出し、前を向いていきたいのですが、なかなかそうもいきません。どうしたらいいでしょうか。

回答

これまで温めてきたパートナーへの愛情が行き場を失い、さらには自身の実存がグラグラ激しく揺さぶられる。こんな苛烈な体験は、失恋をおいて他にない。ましてや、パートナーの突然の心変わり。その理由も分からないとなると、その理不尽さに打ちひしがれ、今後どう生きればいいのか途方に暮れてしまう。正直なところ、この情報だけで彼の真意を見抜くことは不可能です。そのため、多分に臆測を交えてですが、彼のこころの奥底を探ってみましょう。

彼はデート後、あなたもそう感じたように、あなたにかなり冷徹な仕打ちを行っています。それは、重大な罪を犯した人に、これ見よがしに制裁を加えるかのよう。彼には恐らくあなたにも明かしていない〝内規〟があって、それで他人を推し量ってきているはずです。あなたもそのターゲットであり、数カ月間冷厳に見定めた結果、勝手に〝不合格〟とし、唾棄したのではないか。その内規を最後まで示さないのは、その空気を察することができない〝鈍い〟あなたを苦しめる意図があるようです。いつまで一緒に居ようとも、こんな彼とあなたがうまくいくはずはないので、早々に見切られたことはむしろ幸いだったのではないでしょうか。

では今後、あなたはどうすべきか。悔しいし怒りを覚えるのももっともですが、「男は彼ばかりじゃない」と気持ちを切り替えるのが一番です。「世の中には、こんな酷薄な男もいるんだ。これも人生の勉強」といきましょう。トラウマを引きずってしまうと思われるかもしれませんが、人生の痛みを知るあなただからこそ、他の誰かを労(いたわ)り癒やすことができるかもしれません。そこに新たな出会いがある。人間万事塞翁が馬です。

回答者

熊木徹夫 精神科医。昭和44年生まれ。「あいち熊木クリニック」院長。著書に「自己愛危機サバイバル」「ギャンブル依存症サバイバル」(ともに中外医学社)、「精神科医になる~患者を〈わかる〉ということ~」(中公新書)など。

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