書評

『東山道エンジェル紀行』町田康文、寺門孝之絵

モノとしての本に徹底的にこだわった装丁と造本が強烈だ。人の手でなければ絶対にできない細かな仕掛けが随所に施されている。そこに表現されるのはキッチュでパンクな感覚だ。こればかりは実際に手に取ってもらう以外に説明のしようがない。

内容は寺門孝之の天使の絵に触発された元ロッカーの文士、町田康が20年の歳月をかけて完結させた現代の寓話(ぐうわ)。郷里を追われ、軽発機と案内侍に監視されながら、目的地のない不毛な旅を続ける追放者は、泣き女、人虎、水中舞踏家、音楽女王との出合いを経て、どこにたどり着き、何を見るのか。(左右社・1980円)