【ザ・インタビュー】希林さんとの濃密な時間 浅田美代子さん著「ひとりじめ」 - 産経ニュース

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ザ・インタビュー

希林さんとの濃密な時間 浅田美代子さん著「ひとりじめ」

「優れた女」と書く「女優」という言葉は苦手。「職業欄には会社役員と書く」と話す浅田美代子さん(松井英幸撮影)
「優れた女」と書く「女優」という言葉は苦手。「職業欄には会社役員と書く」と話す浅田美代子さん(松井英幸撮影)

人気ドラマや映画に多数出演し、バラエティー番組のほんわかとした天然ボケのキャラも人気の俳優、浅田美代子さんの初エッセー。デビュー以来、かけがえのない女友達として交流してきた俳優、樹木希林さんとの思い出と、自身の青春の日々をつづった。

「希林さんが亡くなって3年。希林さんは素晴らしい人なんだけど、今、あがめられ過ぎちゃって、神様みたいになっている。ほんとはかわいくてチャーミング。私が知っている希林さんを知ってもらいたいな、と思って」

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出会いは16歳のとき。テレビドラマ「時間ですよ」の新人オーディションで、希林さんはプロデューサーの久世光彦(てるひこ)さんと一緒に新人を選ぶ審査員だった。つまり、浅田さんを芸能界へと導いてくれた1人が希林さんなのだ。このドラマの収録を通して、現場でのあり方や礼儀、台本との向き合い方、アドリブでの芝居など、役者としての基本を教えてもらった。

浅田さんは21歳でフォーク歌手、吉田拓郎さんと結婚、仕事を辞めて専業主婦となる。大反対する両親を説得し、「結婚することも、専業主婦になることも良いことよ」と背中を押してくれたのも希林さんだ。波乱の末にかなった結婚だったが、7年後に離婚、芸能界に復帰する。結婚と離婚にいたる経緯やその後に経験したいくつもの恋、許せなかった父親のこと、老いへの抗(あらが)い、明石家さんまさんとの縁…など、これまで語られることのなかった浅田さんの人生が赤裸々に描かれている。

「結局、私の人生の節目節目に希林さんがいて、希林さんのことを書くのに、(結婚や離婚などのプライベートは)避けて通れなかった。書きながら、希林さんのことを思い出して何度も泣きました。でも、思い出すことで、『また希林さんと会えた』という気持ちになったし、書いているうちにどんどんいろんなことを思い出して、あれも入れようこれも、となって大変でした」

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役者業の傍ら、力を入れているのが動物愛護団体への支援だ。同居していた母親を亡くし、つらくて引きこもりがちだったころ、シーズー犬の桃太郎と柑太郎に慰められた。つらいときに救ってくれた犬のために何かしたいと、柑太郎が死んだ後、保護犬を迎え入れる。人間の身勝手な事情で虐待されたり捨てられたりする犬や猫たちが少なくないことを知り、自らも動物愛護の活動を始める。

劣悪な環境で子犬を産ませる「子犬工場」に愛護団体の人と訪れ犬をレスキューしたり、外に放置され弱っていた室内犬のチワワを救うべく1人で飼い主の家に乗り込んだり、かわいらしい〝となりの美代ちゃん〟らしからぬエピソードを本書で明かしている。

希林さんは「弱い者を助けるのは良いこと。頑張りなさい」と応援してくれたが、「動物愛護のことを語るときの美代ちゃんは人が変わったみたいになるね」と言われたことも。

最近、作家の林真理子さんや脚本家の中園ミホさんら同世代の女性とランチを楽しむなど親しくしている。本書の執筆を勧めてくれたこの仲間たちとの縁も、希林さんが運んでくれたと思っている。

「美代ちゃんが私の人生の語り部になってね」。生前の希林さんにこう言われていた。本書を上梓(じょうし)し、この約束をようやく果たすことができたのかもしれないという。

「私が私として普通のままあり続けられたのは、芸能界に入って希林さんに出会えたから。希林さんがいないという実感がまだわかなくて、『美代ちゅあん』って電話がかかってきそうな気がする。会いたいです」

3つのQ

Q得意な料理は?

和食系です。市販のお総菜は甘過ぎて苦手。肉じゃがやきんぴらなどは自分で作った方が簡単だしおいしい

Q:今飼っている犬の名前は?

Coo(クー)、与作、カル。3匹とも保護犬です。軽いからカルと名付けたチワワは太ってむちむちになっちゃった(笑)

Q最近感動したことは?

車いすテニスの国枝慎吾選手の活躍。パラリンピックで金メダルを取り、その後すぐの全米オープンでも優勝してすごい

あさだ・みよこ 昭和31年、東京都生まれ。48年、ドラマ「時間ですよ」でデビュー。劇中で歌った「赤い風船」が大ヒットし、同年の日本レコード大賞新人賞を受賞。「寺内貫太郎一家」「釣りバカ日誌」など人気ドラマや映画に多数出演。令和2年公開の映画「朝が来る」で第30回日本映画批評家大賞助演女優賞を受賞。動物愛護団体への支援をライフワークとしている。