勝ち馬に乗れず…自民・二階派「冬の時代」

自民党の二階俊博前幹事長が率いる二階派(志帥会、47人)が長年対立関係が目立っていた岸田文雄新総裁の誕生に伴い、冬の時代を迎えつつある。これまで党内では絶大な影響力を誇ってきたが、今回の総裁選では勝ち馬に乗ることができず、二階氏は退任。主要ポスト争いでも苦戦している。

「どうも、ありがとうございました」

二階氏は新執行部が正式に発足した1日、5年以上を過ごした自民党本部の幹事長室を退出する際、メディア関係者らに頭を下げた。党本部前には秘書が運転する私用車が待機。冷たい雨が降りしきる中、寂しげに車に乗り込んだ。

二階氏は幹事長として安倍晋三前首相と後継の菅義偉首相を支えた。二階派は昨年9月の総裁選で菅首相の支持をいち早く表明し、党内で第4勢力ながら、武田良太総務相など重要なポストを獲得した。

今回は一転して、幹事長はおろか、党4役のポストを得ることはできなかった。岸田内閣の組閣では、環境相や新設する経済安全保障担当相のポストを確保したが、二階派の閣僚経験者は「どこが挙党態勢なのか」と不満を募らせる。

苦境を招いた原因は、総裁選での戦略ミスとの指摘が多い。二階派は、岸田氏以外の3候補の陣営に推薦人を出し「岸田包囲網」を構築した。岸田氏が二階氏の交代を念頭に示した「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」とする党改革案への反発だった。

しかし、決選投票の末に勝ったのは岸田氏。総裁選の終盤には派内が河野太郎ワクチン担当相を推す声と「岸田氏と高市早苗政調会長の連合体が決選投票で逆転する」とみる意見に分裂した。投開票日には、河野陣営に回っていた複数の二階派議員が、第1回目の投票で野田聖子元総務相に流れるなど迷走も目立った。ベテラン議員は「勝ち馬に乗ってきた二階派が今回は読み誤った。代償は小さくない」と語る。

二階派にとって、選挙区調整にも携わる幹事長ポストを手放したことは、次期衆院選への逆風となりかねない。党山口県連は1日、衆院山口3区の公認候補として、岸田派(宏池会)の林芳正元文部科学相を党本部に申請することを決めた。同区の現職は二階派の河村建夫元官房長官だ。

二階派は他の選挙区でも他派と公認争いを繰り広げるが、求心力の低下はこの行方にも影響を与える可能性がある。(広池慶一)