無人で種まき 熱視線集める北海道のスマート農業

牧草地で播種作業を行う自動走行ロボット。手前の女性はスマートフォンで作業済みのルートを確認している=年9月15日、北海道江別市(坂本隆浩撮影)
牧草地で播種作業を行う自動走行ロボット。手前の女性はスマートフォンで作業済みのルートを確認している=年9月15日、北海道江別市(坂本隆浩撮影)

北海道でスマート農業の実証事業が盛んだ。高齢化や後継者不足などを背景に1戸当たりの所有面積が増え、労働力不足が課題となる中、自動ロボットやドローンなどICT(情報通信技術)を活用した省力化技術の社会実装研究が進む。すでに導入している地域もあり、次世代型の営農技術に熱視線が注がれている。

GPSやドローン利用

9月中旬、北海道江別市の広大な牧草地に農業関係団体、行政関係者が集まった。道が令和元年から進めてきた「ICT活用牧草生産実証事業」の実演会。熱い視線の先にあるのは、 GPS(衛星利用測位システム)による位置情報データやドローンの撮影画像データなどを使い、座標化した農地で種まき作業をする自動走行ロボットやミニヘリコプターだ。プログラムされたルートを移動しながら無人で種まき作業を行うロボットに関係者は強い関心を寄せていた。

道農政部畜産振興課の山田尚子専門主任はスマート農業の特長を「省力化が最大のメリット」と語る。農家戸数が減少し、1戸当たりの所有農地面積が拡大している。「それだけ労働負担が増えている」といい、その課題解決に有効なのが自動化技術という。

「AI(人工知能)による画像分析で雑草エリアを特定し、そのデータを基にピンポイントで除草剤を散布することもできる。誤差も少なく、無駄も減ってコスト削減になる」と山田専門主任は説明する。

導入支援を強化

国内では令和元年から実証事業が本格化している。道農政部によると、同年以降、全国で約180地区が採択され、このうち北海道は少なくとも15地区以上で事業が完了、または進行している。農政部技術普及課の担当者は「この2年間で多くの情報が得られた」といい、普及拡大に意欲を示す。

だが、導入するには、自動走行トラクターなら1台当たり約1500万円、農業用ドローンなら約300万円など費用が高額で、家族経営の農業者には負担が大きい。「地域で共同利用する組織をつくることも一つの手法」と担当者。

今年8月には道内14カ所の農業改良普及センターに「スマート農業推進窓口」が設置され、農業者や農業団体などの相談も受け付け始めた。「まだ理解が進んでいない面もある。今後は普及が鍵になる」と話す。