記者発

食品スーパーは経済社会の縮図 大阪社会部・山本考志

千葉県浦安市にあるオーケーの店舗
千葉県浦安市にあるオーケーの店舗

阪急阪神百貨店などを運営する流通大手エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリングと首都圏地盤の食品スーパー「オーケー」(横浜市)の両社が、関西地盤の「関西スーパーマーケット」(兵庫県伊丹市)の買収を目指す争奪戦を取材する中、長らく関西で生活する身としてオーケーの存在を初めて知った。

取材を機に9月中旬、横浜市の店舗を訪れると、広い通路に整然と配された高い陳列棚に大量の食料品が並んでいた。加工食品の値札には販売価格のほかに、メーカー希望小売価格からの割引率なども表示されている。

大量仕入れで価格を抑えた商品を毎日販売して支持を拡大し、首都圏で約130店舗を展開するオーケー。買収を目指す関西スーパーは、阪神地域を中心に約65店舗を展開する昭和34年創業の老舗だ。青果、鮮魚、精肉の「生鮮三品」に強みを持ち、鮮度を保つため食材を店内加工するスタイルを確立。日本中のスーパーにノウハウを提供した。

関西スーパーとの経営統合案を合意したH2Oは阪急電鉄沿線を中心に阪急オアシスを約80店舗展開する。産地直送品や輸入食材も扱い、総菜売り場は品ぞろえが充実。新型コロナウイルス禍で百貨店事業が打撃を受ける中、平成26年に子会社化したイズミヤとともに食品スーパー事業の強化を進めている。

関西スーパーは10月下旬予定の臨時株主総会でH2Oとの経営統合案を諮る。可決されればH2Oは関西での集中展開を強化。否決の場合はオーケーが関西スーパーの賛同を得てTOB(株式公開買い付け)を行い、店舗網を傘下に入れて関西進出を目指す。

独自のスタイルを持つ3社の共通点は都市部の駅周辺や住宅街に店舗を持つ立地戦略だ。郊外から人口減少が進む中、人口集積地の都市部では競合他社だけでなく食品を扱うドラッグストアやネットスーパーも参入し競争が激化。食品スーパー業界が直面する課題が争奪戦の背景にある。

食品スーパーでは立地戦略だけでなく商品の価格や品ぞろえにも、世界各地の気候変動や原材料価格の変化、新型コロナ禍に伴う巣ごもり需要など、さまざまな社会情勢の影響が及ぶ。経済の動きを肌で感じられる身近な場所として注目するのも面白い。

【プロフィル】山本考志

平成19年入社。広島、大津、奈良各支局、大阪社会部などを経て令和元年6月から大阪経済部で流通業界などを担当。今年10月から大阪社会部。