深層リポート

群馬発 「高崎の子供は高崎で守る」 中核市・高崎市が児相設置へ本格始動

高崎市に関わる虐待通告数の推移
高崎市に関わる虐待通告数の推移

平成23年4月に中核市へ移行した群馬県高崎市が、独自の児童相談所(児相)設置への取り組みを本格化させている。深刻な不足が指摘されている児童福祉司など専門職員の確保に向け、富岡賢治市長は今月中旬にも全国に公募を開始する考えを明らかにした。近く、設置時期と設置場所についても公表する予定だ。富岡市長のトップダウンで始まった〝挑戦〟の合言葉は「高崎の子供は高崎市で守る」だ。

いらだちが出発点

高崎市は県庁所在地の前橋市よりも人口が多い県内最大の市。この10年間、人口は37万人台でほぼ横ばいだったにもかかわらず、児童虐待の通告数は増え続け、令和2年度は10年前の2・8倍の550件に上った。

児童虐待の相談などは、市の窓口と県の西部児相が担ってきた。子供と親を引き離す一時保護措置や施設入所などの権限も西部児相が持つ。だが「市として一時保護した方がいいと考え、県に話を持っていっても『検討します』とはっきりしない。そんなことが何回もあった」と富岡市長はいらだちを隠さない。

通告件数が500件を超えたのは令和元年度。このころ「このままでは高崎の子供は守れない。市の責任で児相設置をしなくてはならないと完全に思い込んだ」と富岡市長は振り返る。

元年10月、警察OBらも加え関係機関との連携強化を図る「こども救援センター」を設置。翌年には児相設置を視野に担当職員も配置した。

進まぬ中核市の設置

児相の設置は、児童福祉法で都道府県と政令指定都市に義務付けられ、平成16年の法改正で中核市、28年の改正で特別区でも設置が可能となった。

ところが、全国62の中核市で設置をしているのは神奈川県横須賀市、金沢市、兵庫県明石市のみ。進まぬ理由を高崎市の担当者は「巨額な運営費負担と児童福祉司や児童心理司など専門人材の確保への不安が背景にある」とみる。