次期衆院選の栃木2区をめぐる自民党内の分裂に2日、決着の道筋がついた。県連が公募で選出した五十嵐清元県議(51)を小選挙区の、西川鎮央元県議(50)を比例北関東ブロックの候補者として党本部に公認申請する方針が同日の役員会で了承された。候補者が一本化され、立憲民主党現職の福田昭夫氏(73)との一騎打ちとなる公算が大きくなった。
県連会長の茂木敏充外相は、宇都宮市での会合後に「五十嵐氏の選出過程で様々な意見もあった。西川氏もきちんと処遇し、一本化したい」と報道陣に説明。前回衆院選で自民は比例北関東ブロックで7議席を獲得しており、「(西川氏を)名簿上位に登載できれば間違いなく当選できる」との見方を示した。
県連は西川氏に対し、出馬した場合は除名を含む厳しい処分で臨むと通告していたが、茂木氏は「今日でノーサイド。協調モードにしていく」と強調。会合に出席した西川氏の父、公也元農水相からは感謝の言葉を受けたという。
栃木2区は県内5小選挙区で唯一の立民の牙城。西川公也元農水相は選挙区で過去2回連敗した。県連は6月に新たな候補者として五十嵐氏を選んだが、西川氏側は地元市町議らの組織を設立するなど反発。鎮央氏は先月30日に県議を辞職し、出馬を表明した。
次期衆院選へ向けた公認争いは群馬など他県でも火種となっており、県連関係者は今回の「住み分け案」を「妥当な落としどころ」と評する。総裁選後の党執行部人事により、幹事長が西川氏の後ろ盾だった二階俊博氏から、茂木氏に近い甘利明氏に交代したことも「手打ち」につながったとみられる。
一方、福田陣営は牙城の死守に向け、野党共闘を本格化させている。自民が議席奪還を目指す上で、五十嵐陣営と西川陣営の間に残るしこりを解消できるかどうかが課題だ。自民県連幹部は「これから関係修復に尽力するが、大変だ」と漏らす。(山沢義徳)