ノーベル賞 日本人2年ぶり受賞なるか 4日から発表 - 産経ニュース

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ノーベル賞 日本人2年ぶり受賞なるか 4日から発表

今年のノーベル賞が4日から順次、発表される。医学・生理学賞、物理学賞、化学賞の自然科学部門は日本人の有力候補が多く、2年ぶりの受賞となるか注目されそうだ。村上春樹さんに期待がかかる文学賞など各賞を予想した。

医学・生理学賞(4日)

医学・生理学賞は新型コロナウイルスのワクチン開発に授与されるかどうかが最大の焦点だ。ウイルスの遺伝物質であるメッセンジャーRNA(mRNA)を人工的に合成し、投与する方法を確立した米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ客員教授(66)ら2人の名前が挙がる。

短期間で実用化し、感染拡大を抑止した功績が評価される一方で、世界的な流行はまだ終息しておらず、医学的な評価は時期尚早との見方もあり、受賞は来年以降に持ち越される公算も大きい。

日本人では、細胞内で異常なタンパク質が増えないようにする「小胞体ストレス応答」の仕組みを解明した京都大の森和俊教授(63)が有力だ。

免疫を抑える「制御性T細胞」を発見した大阪大の坂口志文栄誉教授(70)、細胞同士を接着させる「カドヘリン」という物質を発見した理化学研究所の竹市雅俊名誉研究員(77)も有望視される。

物理学賞(5日)

物理学賞は昨年、宇宙分野で2年連続の受賞となったため、今年は物質の性質を探る物性分野か、量子力学の分野から選ばれる可能性が高い。物質の概念を一変させた「トポロジカル絶縁体」や、量子力学の基礎研究などへの授与が予想される。

日本人では「光格子時計」を発明した東京大の香取秀俊教授(57)への期待が大きい。数百億年に1秒しか狂わない超高精度な原子時計で、革新的な情報技術の誕生につながる成果として国際的に評価されている。

量子コンピューターの基礎技術を開発した東京大の中村泰信教授(53)らも有望だ。超電導物質を使って心臓部の回路を開発し、実用化への研究を大きく前進させた。

化学賞(6日)

化学賞は日本人が得意とする有機化学の分野から選ばれる可能性が高い。有機合成の研究では、炭素と水素の結合を切断する効率的な合成法に道を開いた大阪大の村井真二名誉教授(83)が有力視される。精密な高分子材料を合成する手法を開発した中部大の沢本光男教授(69)も有望だ。

微細な穴でガスを吸着する多孔性材料を開発した京都大の北川進特別教授(70)、中空の有機化合物を使って物質の構造解析を行う手法を確立した東京大の藤田誠卓越教授(64)も有力で、両氏が同時受賞する可能性もある。

文学賞(7日)

文学賞の有力候補として毎年名前が取り沙汰されるのが「ノルウェイの森」などで知られる世界的人気作家、村上春樹さん(72)。作品は50を超す言語に翻訳されており、チェコのフランツ・カフカ賞など国際的な文学賞の受賞歴もある。日本人としては27年ぶり3人目の栄誉となるか注目される。

英国のブックメーカー(賭け屋)ラドブロークスの受賞者予想(2日現在)で、村上さんはほかの5氏と同率でトップを走っている。賭けの人気と実際の受賞者は必ずしも一致しないが、1番人気には村上さんのほかに、カナダの女性詩人アン・カーソンさんケニアの作家グギ・ワ・ジオンゴさんらの名前が挙がっている。

平和賞(8日)

平和賞のウオッチャーとして知られる国際平和研究所(オスロ)のウーダル所長は、言論の自由の擁護を目指す国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)を筆頭候補に挙げた。

ウーダル氏は、事実に基づく正確な報道は民主主義を機能させるために必要だと強調。国境なき記者団がジャーナリストに危害が加えられるケースを監視、警告する活動も行っているとし、「独立した報道と報道の自由の重要性に焦点を当てた平和賞の受賞にふさわしい」とした。

同氏は、地球温暖化の防止を目的とする国連気候変動枠組み条約とエスピノサ事務局長も有力視した。熱波に起因する山火事や豪雨による洪水などの異常気象が世界各地で相次いでいる状況を踏まえ「気候変動は人間社会に根本的なリスクをもたらしている」と指摘し、国際協力を促進する活動を評価した。

また、同氏は、平和賞が民主化運動や人権侵害の救済に焦点を当てることは重要との見地から、2014年の香港民主化要求デモ「雨傘運動」指導者の一人、羅冠聡(ネイサン・ロー)氏、中国当局を批判して投獄中のウイグル族の経済学者、イリハム・トフティ氏ベラルーシ反体制派のチハノフスカヤ氏も候補に挙げた。

一方、ロイター通信は、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんも受賞の可能性があるとの専門家の見方を伝えた。(ロンドン 板東和正)

経済学賞(11日)

経済学賞は米プリンストン大教授、清滝信宏氏(66)が日本人初の受賞者候補として名が挙がる。

金融危機のメカニズムを解明した〝清滝理論〟は米国、日本の金融政策などの参考となり、2008年のリーマン・ショックの影響が広がるのを防ぐことに貢献。新型コロナウイルス大流行でも、各国が金融危機を封じ込める際に役立った。

マクロ経済学が専門。1997年、経済学者のジョン・ムーア氏とともに、土地などの資産価格が下落すると担保価値が落ちて銀行の融資が減り不況が始まるという仕組みを解明した。