横綱白鵬が引退会見 相撲界けん引 知人らねぎらう

一礼し、引退の記者会見に臨む元横綱白鵬。右奥は宮城野親方=1日午後、東京・両国国技館(代表撮影)
一礼し、引退の記者会見に臨む元横綱白鵬。右奥は宮城野親方=1日午後、東京・両国国技館(代表撮影)

史上最多の45回優勝を誇る元横綱白鵬が1日、引退会見を行った。ゆかりの人たちは活躍をねぎらう一方、横綱としての品格を問題視された姿に「謙虚に新しい一歩を」との声も上がった。(本江希望)

宮城野部屋の九州場所の宿舎で、白鵬と10年以上親交がある(南蔵院(福岡県篠栗町)の林覚乗住職(68)は、会見を振り返り、「思い残すことはないと言っていたが、寂しいんじゃないかな」と感慨深げに話した。

白鵬が左手にしていた数珠は、林住職がプレゼントしたもの。15個の白い玉は、15の白星、全勝の願いがこめられている。

思い出すのは、白鵬の真摯(しんし)に稽古に取り組む姿。「四股や鉄砲など準備運動を入念にやる。10年前から稽古の内容も長さも全然変わらなかった」と話す。

白鵬から相談を受けることも多く、1~2年前から、引退の話が出ることもあった。「どういう辞め方が一番いいのか」と聞かれた林住職は、「全勝優勝して辞めるのが一番ふさわしいのではないか」と冗談めかして答えたという。

「その時は、本当に辞めてしまうとは思わなかったが、長い間、楽しませてくれてありがとうと言いたい」と語った。

昨年の7月場所で右膝の古傷が悪化し、6場所連続休場。今年7月の名古屋場所で復帰し、千秋楽で照ノ富士との全勝対決を制し、45度目の優勝を飾った。

約7年前から白鵬の主治医を務める整形外科医の杉本和隆さん(52)が、今年3月に行った右膝の手術はこれまでにない大手術だった。手術前には階段の上り下りもできない状況で、四股を踏めるようになったのは、名古屋場所の1カ月前だったという。

白鵬が7月7日の七夕の短冊に書いた願いは《15日間戦えますように》。それまでは、優勝への願いを書いていた。

名古屋場所に帯同した杉本さんは「一日一番、先のことは考えられなかった。千秋楽の照ノ富士との対戦では、『膝がぶっ壊れてもいいからやる』との気迫で臨んでいた」と振り返る。

「批判されたことは謙虚に受け止め、新しい一歩を踏み出してほしい」。そう語るのは、大相撲報道に携わって約70年となる元NHKアナウンサーの杉山邦博さん(90)。「ここ2~3年については、立ち合い後の張り手やかちあげなど、取り口が非常に荒っぽくなっていた」と振り返りながらも、「暴行事件や野球賭博、八百長騒動など、不祥事が相次いで起こり、大相撲人気が心配された時期に、『一人横綱』として引っ張ってきたのが白鵬関であることは間違いない。ありがとうと言いたい」と述べた。

今後については、「宮城野親方は、1年ほどで定年になる。しっかり新人の気持ちで、学習しながら過ごし、部屋を持ってからは、第2、第3の白鵬を育ててほしい」と激励した。