混乱を生んだ米軍のアフガニスタン撤収が8月30日に完了してから1カ月が過ぎた。現地駐在経験のある外交関係者らの詳細な証言から、米国はいずれ政策変更するだろうとの予断や、アフガン政府やその軍への過度な期待が、国際社会の情勢認識を誤らせていった経緯が浮かび上がった。(ワシントン 大内清)
◇
8月15日、首都カブールの朝はいつものように始まった。数日前から包囲するイスラム原理主義勢力タリバンがなだれ込む気配はなかった。今後の統治をにらみ、市街地の破壊は最小限にとどめたい。市街戦になれば、撤収を進める米軍が翻意するかもしれない。最終段階に入った内戦の〝詰め〟を誤りたくないタリバン指導部の思惑が、奇妙な均衡を生んでいた。