大企業景況感5期連続改善 日銀9月短観 悪化目立つ自動車 先行きは不透明

日本銀行本店=東京都中央区
日本銀行本店=東京都中央区

日本銀行が1日発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)は、最近の景況感を示す業況判断指数(DI)が、大企業製造業で6月の前回調査から4ポイント上昇のプラス18だった。旺盛な海外需要を背景に5四半期連続で改善し、平成30年12月以来の高い水準。ただ、新型コロナウイルス感染拡大に伴う自動車減産の影響や、中国不動産大手の経営危機などチャイナリスクも顕在化し、先行きの不透明感はむしろ強まっている。

大企業製造業は主要16業種のうち、原材料高の価格転嫁が進んだ鉄鋼や石油・石炭製品など11業種で改善、2業種は横ばいだった。

悪化は3業種で、目立つのが自動車だ。東南アジアのコロナ禍による部品調達の遅れが影響し、10ポイント下落のマイナス7を記録。自動車メーカーに部品を供給す鉄鋼、金属製品、生産用機械などの業種で、先行きを懸念する声が幅広く出た。

大企業非製造業のDIはプラス2で前回のプラス1から小幅に改善。製造業と同様に5四半期連続の改善だったが、緊急事態宣言長期化の影響で宿泊・飲食サービスなどは依然厳しく、先行きの見通しも1ポイント上昇のプラス3にとどまった。

コロナ禍で景気持ち直しを牽引(けんいん)してきたのは輸出が好調な製造業だが、追い風となった海外経済の回復はここにきて鈍化し始めた。中国では不動産大手「中国恒大集団」の経営危機が資産バブル崩壊につながる懸念が強まり、深刻な電力不足も経済活動を抑制している。米国では議会対立で連邦政府のデフォルト(債務不履行)リスクが浮上し、金融市場も混乱している。

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「将来不安が大きくなってきたのは間違いない。(4日に発足する)岸田文雄政権は海外動向を注視し、状況に応じた政策的な対応が求められる」と注文する。