勇者の物語~「虎番疾風録」番外編~田所龍一(321)

西宮燃ゆアニマルVS清原 ひと目見ようと

阪急電車梅田駅に貼りだされた『入場できません』のお知らせ
阪急電車梅田駅に貼りだされた『入場できません』のお知らせ

■勇者の物語(320)

まさか、そんな…。信じられない光景が目の前に広がっていた。

4月12日から始まった本拠地・西宮球場での〝開幕〟西武3連戦に、アニマルと清原、2人の対決をひと目見ようと暖かい春の日差しにも誘われてドドーッとファンが押し寄せたのである。その数10万8000人。

12日 阪急●2―4○西武 4万人

13日 阪急○5―3●西武 4万3000人

14日 阪急○8―7●西武 2万5000人

なんと13日の日曜日は球団史上2番目の4万3000人を記録。内外野の入場券は午後1時15分に完売。球場入り口で係員が「立ち見でもいいとおっしゃるお客さまだけ、ご入場ください!」と声を張り上げた。そして阪急電鉄梅田駅には『満員で今から球場へ行かれても入場できません』の貼り紙まで。

◇4月13日 西宮球場

西武 000 100 110=3

阪急 004 000 10×=5

(勝)今井1勝 〔敗〕松沼弟1勝1敗

(S)アニマル1S

(本)弓岡①(松沼弟)石嶺①(成田)石毛①(今井)

試合は三回に弓岡の「生まれて初めて」の満塁ホーマーが飛び出し、七回には石嶺の場外本塁打。そして八回、5―3と今井が2点差に詰め寄られたところでアニマル登場だ。

ノッシノッシとマウンドに上がったアニマル、今井からボールを受け取ると、今井の胸にパンチ一発。不意打ちを食らってよろける今井にスタンドは大爆笑。秋山を空振りの三振に切って「ウオオォ」。九回もたてがみを振り乱して絶叫。最後の打者・田尾を遊飛に打ち取って初セーブを挙げれば、スタンドのファンも総立ちの大興奮。

「ありがたいことです、私がオーナーになって一番多いお客さまです。先発した今井君には申し訳ないが、アニマルが出てきてよかったと思います。ファンの方々にこんなに喜んでいただけたんですから」

ネット裏で観戦していた柴原オーナーも目が真っ赤だ。

「これからはほかの球場ではオレが出てきたらブーイングが起こるだろう。アメリカでもそうだった。どんどん叫んでくれ。それがオレのパワーになる」

ミスターの〝予言〟が的中した。(敬称略)

■勇者の物語(322)