2カ月前から同様の行為 連続中毒死初公判

横浜の点滴連続中毒死事件の初公判が開かれた横浜地裁=1日午後
横浜の点滴連続中毒死事件の初公判が開かれた横浜地裁=1日午後

看護師の女が高齢の入院患者の点滴に消毒液を混入させ、次々と殺害した連続中毒死事件の初公判。冒頭陳述からは、久保木愛弓被告が、事件を起こした約2カ月前から同様の行為を繰り返し、殺害を決意するとすぐに犯行に及んでいたという「異様な実態」が浮かび上がった。

出廷した久保木被告は伸びた髪を後ろに結び、上下グレーのスーツ姿。細い縁の眼鏡に白いマスクをつけ、やや緊張した様子に見えたが、証言台の前では終始落ち着いた様子で座っていた。看護部長や同僚だった看護師らの調書が読み上げられると、両手を膝の上に置き、身動きすることなく聞き入った。

「点滴が泡立っている」。事件発覚のきっかけは、平成28年9月20日に死亡した3人目の被害者、八巻信雄さんの点滴袋内に気泡があるのに気付いた看護師の一言だった。

検察側の冒頭陳述などによると、久保木被告は同年7月中旬ごろから、入院患者に投与予定の点滴袋に注射器を使って消毒液の混入を繰り返していたと自供。同年9月1日には夜勤中に消毒液のボトルを隠すように持っていた被告の姿を同僚が目撃しており、この時期、院内では使用頻度が低い消毒液が使いかけの状態で複数本見つかるなどの「異変」も確認されていた。

検察側は、被告は殺害を決意すると、すぐに行動を起こしたと指摘。最初の犠牲者である興津朝江さんには、無断外出するトラブルが起きた9月15日の日勤時に犯行に及んでおり、2人目の被害者となった西川惣蔵さんにも、自分が担当することになった同18日、見回りの際に注射器を使って一気に消毒液を注入していた。

これに対し弁護側は、被告が犯行当時、鬱病に罹患(りかん)しており、統合失調症の影響があったと主張。起訴後に実施された精神鑑定などを基に、心神耗弱状態だったと訴えた。

被告が最初に勤めた別の総合病院で、患者の死に直面して「自分の看護が行き届かなかった」と思い悩み、睡眠薬を服用するようになり退職したと説明。終末期の患者が多く入院する大口病院に転職した後も、事件発覚の約半年前、死亡した患者の家族から「この看護婦が殺した」と罵倒されてショックを受け、過食などの症状が出ていたと明かした。