美少女Vチューバー 「表現の自由」論争過熱

30年に自衛隊滋賀地方協力本部がアニメ「ストライクウィッチーズ」のキャラを起用した自衛官募集ポスターも矛先を向けられた。丈の短い制服姿の女性3人がポーズを取る構図に、下半身を過度に露出しているといった批判が集中。ポスター取り下げに追い込まれた。

消費者団体「エンターテイメント表現の自由の会」によると、最近は性的対象として批判を受ける描写が広範囲に及び、件数も増加傾向にあるという。

坂井崇俊代表は戸定梨香の一件について「一度公開されたものが外部の批判を受けて非公開になったことが問題だ」と指摘。公的機関による撤回が相次いでいる実態には「『言ったもん勝ち』になり、クリエイターの萎縮につながる」と懸念を示す。

板倉さんは議連の抗議に対し「まずは話し合うことが第一歩。なぜそれがなかったのか」と疑問を呈し、「問題が起きてスルーしていたら、同じことが繰り返される」と危機感を募らせる。

6万4千超の署名

ネット上では板倉さんの思いに賛同する動きが広がっている。有志が9月10日以降、議連に抗議し、批判の根拠を説明するよう求める署名を集め、2週間余りで6万4千筆を超えた。

議連は公式サイトに「当該動画の掲載も削除も、千葉県警によるもの」と掲載している。共同代表の増田薫・松戸市議は取材に「議連が圧力をかけたという話は勘違いで、ゆがめられている。抗議は自由で、責任を取るべきは警察のほう」と反論し、議連の見解を今後表明する意向を示した。

自治体広報に詳しい東海大の河井孝仁(たかよし)教授は「公的機関に求められるのは、説明責任。広報の目的を事前に明確にしておくことが必要だ」と指摘する。千葉県警の対応については「なんとなく面白そうだと思ってVチューバーを起用し、抗議を受けたからやめたというのであれば、制作者に失礼だ」と語った。

県警に戸定梨香起用の狙いをただすと、「コロナ下の広報活動を検討している中で、地域に根差した活動をしている芸能プロダクションに協力してもらった」と説明。動画削除の理由は「交通安全を啓発する本来の目的と異なる意図が伝わることが懸念されたため」と答えた。

今回の騒動を受け、秋以降に予定された県警と板倉さんの事務所の共同企画は白紙となった。何ともやり切れない。(尾崎豪一)

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