SBI、株主にらみ戦術転換 新生銀と攻防新局面に

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新生銀行へのTOB(株式公開買い付け)を実施しているSBIホールディングスは30日、TOB期間を12月8日まで延長するとの届け出書を関東財務局に提出した。新生銀の要請を受け譲歩した形だが、TOB成立に向け強気の姿勢は崩しておらず、買収防衛策の是非を諮る臨時株主総会に備え株主へのアピールに力を入れる戦術とみられる。新生銀が今後、臨時株主総会の開催を正式に決めれば、株主の支持をめぐって激しい争奪戦に発展する。

SBIは当初、新生銀のTOB延長要請を「単なる時間稼ぎ」と批判し、買収防衛策について裁判所に差し止め申し立てを検討すると表明していた。だが、TOBに詳しいコンサルタントは「差し止めはハードルが高く、申し立てが認められなければ『負け』のイメージがつくため、回避した可能性がある」とみる。

新株予約権を既存株主に無償で割り当てる新生銀の買収防衛策は、平成19年に米投資ファンドからTOBを実施されたブルドックソースが国内で初めて発動したが、裁判所は株主総会で承認を得たことなどを理由にファンド側の差し止め申し立てを退けた。株主の支持を得た防衛策は差し止めが難しく、むしろ強引な印象が強まれば他の株主の反感を買う恐れが強い。

TOBに詳しい大島義孝弁護士は、SBIの態度軟化について「株主の支持浸透に照準を合わせて、対話の姿勢をみせながら自らのプランをアピールする戦術に転換した」と分析する。

新生銀の有価証券報告書によると、SBIは3月末時点で新生銀の約20%の株式を保有する筆頭株主だ。新生銀に投入した公的資金を株式で持つ政府(預金保険機構、整理回収機構)の保有比率は約20%だが、臨時株主総会では積極的に賛否を表明しないとの見方もある。買収防衛策が承認されるかは、合計約3割の株式を持つ複数の海外機関投資家の動向がカギを握る。

11月にも開催される臨時株主総会で、新生銀の思惑通り買収防衛策が承認された場合、SBIは却下されるのを覚悟で裁判所に差し止めを申し立てるか、TOBの撤回に追い込まれる可能性がある。承認されなかった場合、新生銀は望まぬ提携圧力から救ってくれるホワイトナイト(白馬の騎士)を探せなければ、TOB成立後にSBIの連結子会社になる。

SBIによる新生銀株式の買い付け価格は、TOBを表明した9月9日終値よりも4割近く高い1株当たり2千円。新生銀の現経営陣は株主の支持を得るため、株価をこれ以上に押し上げられる新たな経営プランを示す必要に迫られる。特に機関投資家に議案の賛否をアドバイスする「議決権行使助言会社」の理解を得られるかが今後の焦点になる。

ただ、企業買収に詳しいIBコンサルティングの鈴木賢一郎氏は「業績が低迷してきた現状を踏まえれば、納得性のあるプランを示すのは容易ではない」と指摘。新生銀は既に追い込まれていると分析する。

(高久清史)