【ビブリオエッセー】「ふつう」って何だろう 「ワンダー」R・J・パラシオ著 中井はるの訳(ほるぷ出版) - 産経ニュース

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「ふつう」って何だろう 「ワンダー」R・J・パラシオ著 中井はるの訳(ほるぷ出版)

この小説には「ふつう」という言葉が何度か出てくる。「ふつう」とは何か、その答えはどこにもないのだろう。あなたにとっての普通、それは誰かにとっての特別かもしれない。価値観は人それぞれで、強要されるものではない。

それは人の容姿にも言えることだ。「ふつう」の顔とは何か。逆に「ふつう」じゃない顔とは何なのか。『ワンダー』の主人公、オーガストは遺伝子疾患により生まれつき顔に障害がある男の子だ。

オーガストは他人からじろじろ冷たい目で見られることに慣れっこで何とも思わなくなっている。何度も手術をしてきたため10歳で初めて一般の学校に通うことになった。本当は行きたくなかったのだが、通い始めた学校はやはり甘くないことをすぐに思い知る。

毎日、からかわれたり、いじめを受けたり。慣れっこだったオーガストもさすがにくじけそうだ。でも味方になってくれる優しい友達や先生はいたし、ママやパパ、姉のオリヴィアら家族はいつだってそばにいてくれた。ただし、味方の人たちにだって不安はある。

この物語は主人公オーガストの視点だけでなく、姉や友達など中心人物を変えて書くことで世界のいろいろな見え方が伝わってくる。オーガストばかりが苦しんでいるのではなかった。

理科研究大会、野外学習…だんだん周りの人たちの心も変化していく。ここに書かれているのはオーガストが5年生を終えるまでの日々。そして修了式の日、「奇跡」が起きる。

重要なのはオーガストの顔は何一つ変わっていないことだ。変わったのは周りの人たちの心。少しずつ受け入れていく。これなら誰にだってできるはず。私はそのことを学んだ。

東京都調布市 佐野青(14)

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