経団連が夏季フォーラム、岸田新総裁に期待や注文

経団連夏季フォーラムの冒頭であいさつする十倉雅和経団連会長=30日、東京都千代田区(代表撮影)
経団連夏季フォーラムの冒頭であいさつする十倉雅和経団連会長=30日、東京都千代田区(代表撮影)

経団連の夏季フォーラムが30日、東京都千代田区で開幕した。今年は東京五輪や新型コロナウイルスの影響で開催を例年の7月から9月に変更、自民党新総裁の選出直後という異例のタイミングとなった。出席した財界人からは岸田文雄新総裁の経済政策などへの期待や注文の声が相次いだ。

「コロナ禍への対応や、ウィズコロナにおける社会経済活動の活性化などに果敢に取り組み、リーダーシップを発揮してほしい」

経団連の十倉雅和会長は夏季フォーラム開幕のあいさつで岸田氏の手腕に期待を寄せた。

緊急事態宣言は解かれたとはいえ、感染再拡大のリスクがなお残る中、飲食や運輸、旅行といったコロナ禍の打撃が大きい業界の要望は切実だ。JR東日本の冨田哲郎会長は早期の経済回復に期待を寄せ、「観光業界や地方経済への支援を」と訴えた。

岸田氏の経済政策には肯定的な意見も多い。ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長は「(岸田氏が訴える)成長と分配の好循環は非常に重要。政府の役割には国民生活の底を支える部分がある」と話す。バイオベンチャー、ユーグレナの出雲充社長も、岸田氏が格差是正で中間層を復活させる「令和版所得倍増」を掲げたことについて、「実現には成長戦略が必要だが、そのために(創業間もない)スタートアップ企業を支援するとおっしゃってくれている」と歓迎した。

脱炭素が喫緊の課題となる中、エネルギー政策への要望も目立つ。日本製鉄の橋本英二社長は原子力発電維持を訴える岸田氏に同調し、「(温室効果ガス排出を実質ゼロにする)カーボンニュートラル実現のためにも原子力発電の活用と産業競争力の強化が必要だ」と強調。ENEOSホールディングス(HD)の杉森務会長も原発政策の議論を深めるよう求めた。

30日は、ノーベル化学賞を受賞した旭化成の吉野彰名誉フェローや台湾のIT担当閣僚、唐鳳(英語名、オードリー・タン)氏が講演した。フォーラムは10月1日まで2日間の日程で行われる。