千夜一夜

証明書争奪戦

アストラゼネカ製ワクチン(ロイター)
アストラゼネカ製ワクチン(ロイター)

駐在するエジプトの首都カイロで2回、英アストラゼネカ製の新型コロナウイルスのワクチン接種を受けた。海外旅行希望者にはQRコード付きの接種証明書が発行されると聞き、8月下旬に取得作業を進めたのだが、これが大変だった。

証明書の発行所に行ったら、門を閉じている警官と「中に入れろ」と叫ぶ群衆がにらみ合っていた。警官は業務の進み具合を見ながら少しずつ内部に入れていたのだが、猛暑の中で説明もなく待たされた人々は、いつものことだが列も作らずいらだっていた。

もみ合いの末に何とか施設内に入り、接種時にもらった手書きの記録と旅券を担当者に見せてコンピューターで照会してもらったところ、筆者の記録は「中国製ワクチンを1回だけ接種」と誤って入力されていたことが判明した。

続いて保健省の分局に行ってデータの修正を求めたら、役所をたらい回しにされて責任者にたどり着くのに数日かかった。「事実と異なる」と直談判してようやく証明書を手にした。

支局の職員に経緯を話したら、「そんなことはここでは当たり前。私たちの苦労が分かっただろう」と言われた。なぜ列を作らないのか、どうして入力ミスが起きたのか。疑問は尽きないが、エジプト市民の大変さだけはよく分かった。(佐藤貴生)

会員限定記事会員サービス詳細