秋冬の装いの定番といえばニットです。糸の風合いや編み方の違いだけでなく、着こなしによっても印象が変わります。今回はそんなニットの選び方がテーマです。
衣替えした服を眺めて「装いをリフレッシュしたい」。そう感じたら、シャギーニットを1枚手持ちに加えてみましょう。
シャギーとは毛足が長いという意味で、ニットはボリューム感があり1枚で様になり華やかな印象です。近年、日本でニットの加工技術が向上しており、国産ブランドには肌触りが良く毛艶がしなやかなものがそろっています。
「ブラミンク」のニットは、定番のクルーネック(丸首)でどんな服にも合わせやすい日常着的なデザインですが、上品な毛足の光沢感で、控えめな華やかさがあります。シルエットの美しいパンツやパンプスと合わせると、エレガントに着こなすことも可能です。「ハーヴェルスタジオ」のニットは優しい色合い。シックな雰囲気ですが、シャギーのふんわりした素材感に華があり、目を引きます。
こうした控えめな華やかさのあるアイテムは、今の時代を象徴するとも感じます。新型コロナウイルスの感染拡大を境に、華やかな場に出かける機会は減りました。それでもおしゃれをし、気分を明るく変えてみたい。そんな人々の気分に合うのは、ファー(毛皮のような素材)のコートのようなゴージャスなアイテムよりも、シャギーのようにより控えめかつ優しげで、カジュアルな装いにも合わせやすいものなのではないでしょうか。
定番の黒ニットも
定番のシンプルな黒のニットは、スーツからジーンズまで幅広い装いに合う万能なアイテムです。手持ちの服に1枚あると便利ですし、すでにあるという人も多いでしょう。
同じ黒のニットでも、デザインが異なれば印象が変わります。「ジョンスメドレー」のものは、体にぴったりと沿うデザイン。品良く、きちんとした印象に見せてくれます。一方、「スローン」のニットは肩が少し落ちていて人気のオーバーサイズのシルエット。さらにいつもより大き目のサイズを選ぶと、体がセーターの中で泳ぎ、よりトレンド感のある着こなしが可能です。
また、黒のニットは合わせるアクセサリーで印象を自在に調整できます。試しに首元に1枚、スカーフを足してみましょう。
「マニプリ」のスカーフは一枚の中に金具やフルーツといった定番の柄と、水玉、ストライプなどのパターン柄が組み合わさっていて、どの部分を見せるかで印象が変わります。また縁取りにブルーやピンクなどのアクセントカラーが入ったものを選ぶと、顔を明るく引き立ててくれます。お手持ちに「着飽きたな」というニットがあれば、首元にさっと結んでみましょう。
(三越伊勢丹バイヤー・須﨑浩之、雑貨担当・花前里奈)