黒田日銀総裁、在任期間最長 懸案は岸田次期政権へ

日本銀行の黒田東彦総裁(代表撮影)
日本銀行の黒田東彦総裁(代表撮影)

日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁(76)は29日、在任期間が3116日となり歴代最長を更新した。安倍晋三前政権の経済政策「アベノミクス」の牽引(けんいん)役として、就任直後から8年半の大規模な金融緩和で円安と株高を演出。ただ、物価が持続的に下落するデフレからの脱却は道半ばで、近く発足する岸田文雄政権はアベノミクスの大枠とともに宿題も引き継ぐことになる。

これまで在任期間が最長だった一万田尚登氏(3115日)は、第2次世界大戦後の復興期に金融業界や産業界への影響の大きさから「法王」とも呼ばれた。

黒田氏は旧大蔵省(現財務省)出身で、財務官やアジア開発銀行総裁を歴任。第2次安倍政権発足後の平成25年3月、日銀総裁に就任すると、その直後に2%の物価上昇率目標を2年程度で実現すると宣言し、国債を大量に買い入れる大規模な金融緩和を導入した。

産業界を悩ませた円高は解消し、就任時に1万2千円台だった日経平均株価は3万円前後まで上昇した。だが、目標に掲げた物価上昇率は黒田氏の任期(令和5年4月)満了後となる5年度でも1・0%にとどまる見通し。国債の4割超を保有する日銀が国の借金を穴埋めすることで財政規律が失われる懸念も根強い。

一方、岸田政権は新型コロナウイルス禍からの復興が最優先となり、大規模緩和は維持されそうだ。金融政策だけでは解決できない課題が浮き彫りになる中、副作用をどう修正し、景気を上向かせるか。岸田氏は1年半後に迫る「ポスト黒田」選任に加え、残る懸案にも向き合う必要がある。