【主張】緊急事態宣言解除 日常取り戻す重要局面だ - 産経ニュース

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緊急事態宣言解除 日常取り戻す重要局面だ

政府は27都道府県に発令中だった新型コロナウイルス緊急事態宣言と蔓延(まんえん)防止等重点措置を全面解除すると決定した。

新規感染者や重症者数が大きく減少したことによる。一方で、飲食店の営業時間の短縮要請やイベントの入場者制限は続き、今後1カ月をめどに段階的に緩和する。

菅義偉首相が「私の任期中に緊急事態宣言を解除できるめどが立った」と成果を誇る一方で、田村憲久厚生労働相は「全面解除という誤った国民へのメッセージになっては困る。段階的な緩和の措置は残る」と指摘した。

こうしたまた裂き状態の発言が国民を迷わせる。引き続きさまざまな行動制限を要請する以上、宣言地域を重点措置に移行する判断もあり得たのではないか。

解除後、経済社会活動を取り戻す試みとともに、再拡大の兆候がみえたときには速やかに宣言や措置を発令できる態勢を整えておかなくてはならない。

新たな波が来る度に医療が逼迫(ひっぱく)する愚を、これ以上繰り返さぬよう、病床などの医療提供体制を整備しておくことも当然だ。

8月20日に2万5千人超の最多だった国内の新規感染者は、9月27日には千人超に減少した。これはワクチンの総接種回数が1億6千万回を超えた成果である。

承認の遅れは失態といえたが、1日100万回を超えるペースで接種を進め、先行した米国の接種率を超えるところまできたのは、政府や自治体の努力と、ウイルスに対する国民の理解による。

国内で必要回数のワクチン接種が完了した割合は6割近く、1回以上接種した人は7割近くに及んでいる。米国や英国は4割を超えたあたりで伸びが緩やかになり、イスラエルは6割を目前に足踏みを続けた。

ここで気を緩めてはいけない。国内の接種率は劇的に向上したとはいえ、4割以上が打ち終わっていない。ワクチンは万能ではないが、感染や重症化を防ぐことに有効なのは実証済みだ。若年層の感染率の増加は、接種が進んだ高齢者の感染減少の裏返しである。

今後も接種を完了した人に特典を与えるなどの施策で意欲を喚起し、接種速度を維持してほしい。有効な治療薬の普及も望める。ウイルスとの戦いを続けながら、日常を取り戻す。今が重要局面にあることを共通認識としたい。