外信コラム

「生」の国連に胸熱く

国連総会で2年ぶりの対面外交が復活したが、新型コロナウイルスの感染防止を目的とした規制は残っている。首脳や外相らが一般討論演説を行う議場の立ち入りにも制限があり、ネット中継での取材を余儀なくされる記者が多かった。

バイデン米大統領のような有名人から、ワクチン接種をしない主義のためにニューヨークの飲食店に入れなかったブラジルのボルソナロ大統領まで、世界のさまざまな指導者を生で見られる機会を失うのは寂しい。

それよりも真剣に、「ネット中継では演説者の発言に対する他国の反応を十分に確認できない」と批判する同業者もいる。それでも私には、学ぶことの方が多かった。

最も印象的だったのは、1年間を会期とする第76回国連総会が、昨年度の第75回総会の閉会に〝引き続き〟開会したことだ。

飢餓や紛争、人権侵害などに苦しむ人は世界のどこかに常におり、国連の活動には1秒の停止も許されない。だから、国連総会の新会期は前会期の終了後、遅滞なく始まるという。

前会期の終了直前と新会期の開始直後には1分間の黙禱(もくとう)もささげられた。2020年に殉職した国連の要員は336人に上る。国連の使命と犠牲者の献身に真摯(しんし)に向き合う各国代表の姿を目の当たりにして、胸が熱くなった。(平田雄介)

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