【ビブリオエッセー】秘めた力にきっと驚く 「タコの才能―いちばん賢い無脊椎動物」キャサリン・ハーモン・カレッジ著 高瀬素子訳(太田出版) - 産経ニュース

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秘めた力にきっと驚く 「タコの才能―いちばん賢い無脊椎動物」キャサリン・ハーモン・カレッジ著 高瀬素子訳(太田出版)

「おっ」。この本を学校の図書室で見つけた時、すぐ手に取った。『タコの才能』。パンチの効いたタイトルに目を惹かれたからだ。

著者のキャサリン・ハーモン・カレッジさんは科学誌の編集などを手がけているそうだ。この本は各地の漁港や研究機関、料理店などを取材し、タコの素晴らしさをまとめている。

「タコはつかみどころがない」。こんな一文で始まる。ある場所ではそのビジュアルから恐れられ、ある場所ではおいしい食材として扱われているタコ。足(実は腕らしい)が8本、心臓が3つもあり、皮膚は変幻自在、知能まで兼ね備えている。ほとんど最強生物ともいえそうだが、どんな秘密を持っているのだろう。

著者はまず、第一章でスペインに行き、頭のよいタコをいかにして捕獲するかを知ろうと船に乗る。次は世界各地のタコの漁獲高についての話だ。それを読むとタコ漁や輸出に対する規制の緩い国では乱獲されて個体数が減っているらしい。だからこの本が書かれた頃(2013年)のスペインのガリシアでは1キロ以下のタコの捕獲を禁止していたりもする。私はタコも資源管理の対象と知ってとても驚いた。

一方でタコは柔軟な動きと強靱な肉体を持ち、卓越した擬態能力と知能があるという。特に学習能力や記憶力が発達していると考えられ、そんな能力をロボット工学に応用しようと研究されているそうだ。兵器にも活用できるはずだとアメリカ軍は資金をタコ研究に投入しているというからこれも驚きだ。

この他にもここに収まりきれず書かなかった面白い事実がたくさんあるのでぜひ読んでほしい。そして食卓やスーパーでタコを見るたび、その秘めた能力を思い出してほしい。

東京都調布市 藤庵純嵩(13)

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