経営危機に陥っている中国の不動産大手、中国恒大集団は29日、所有する中国遼寧省瀋陽市の盛京銀行の株式を99億9300万元(約1700億円)で売却すると発表した。同銀行への債務返済のためとしている。売却先は瀋陽市政府系の投資会社。恒大の資金繰り悪化が、盛京銀行の経営に影響しないよう協議したもようだ。
習近平指導部は恒大の危機に表立った介入をしていないが、金融市場の混乱につながらないよう地方政府レベルで支援が進む可能性がある。恒大は、政府系会社に株を譲渡することで「盛京銀行の経営が安定する」と説明した。
一方で恒大は29日、4750万ドル(約53億円)の米ドル建て社債の利払い日も迎え、資金繰り不安が募っているが、恒大側は沈黙を保っている。
29日は朝から、広東省深圳市の恒大本社前で投資家らの抗議活動を警戒する警備員の姿が見られ、警察も駆けつけた。(共同)