自民党の新総裁に29日、岸田文雄前政調会長が選出された。10月4日召集の臨時国会で菅義偉首相の後継の第100代首相に指名される。埼玉県内に地盤を持つ国会議員の支持は割れたが、河野太郎ワクチン担当相や高市早苗前総務相を支持した議員の多くは「ノーサイド」の姿勢を強調した。
「しっかりと政権を支え国民のために仕事をしていきたい」
岸田派の村井英樹氏(衆院埼玉1区)は記者団にこう語り、所属する派閥のトップの勝利を喜んだ。
村井氏は、「聞く力」を自負する岸田氏がさまざまな会合などで聞いてきた声を具体的な政策にまとめる作業を任されてきた。「国民の声を聞き、政策に落とし込んで、しっかり訴えてきた結果が結実した」と自負心をのぞかせる一方、首相を支える立場になることは「全く別の次元だ」と気を引き締めていた。
岸田氏の選挙対策本部の副本部長を務めた無派閥の土屋品子氏(同13区)は「党員らは岸田氏が政策などを丁寧に説明しようとする姿に安心感を覚えたようだ」と分析した。
細田派の柴山昌彦氏(同8区)は、1回目の投票、決選投票ともに河野氏に投票したと記者団に明かし「多くの党員が歯に衣(きぬ)着せぬ発言に党の改革を期待していた」と語った。一方で「岸田総裁の誕生となったからには、一致結束、ノーサイドで衆院選に臨みたい」とも強調した。
高市氏を支持した無派閥の黄川田仁志氏(同3区)は、産経新聞の取材に対し「残念に思う。党員に政策や人柄を伝えることができればもっと支持が広がったのではないか」と悔やむ半面、「新首相を支え、発言すべきところはして、一致団結して国政に取り組む」と前を向いた。
(中村智隆、深津響)
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党員・党友票は河野氏がトップ
自民党埼玉県連は29日、党総裁選の党員・党友投票の開票結果を明らかにした。河野太郎ワクチン担当相が最も多くの票を集め、得票率は約50%に達した。新総裁に選出された岸田文雄氏は約25%、高市早苗前総務相は約18%、野田聖子幹事長代行は約7%だった。
県連によると、県内の党員・党友約4万1千人のうち約2万8千人が投票した。1回目の投票で、県内の党員・党友票は全国の票と合計され、得票率に応じて382票がドント方式で各候補に振り分けられた。決選投票では県連としての1票は河野氏に入った。
県連の小谷野五雄幹事長は「党員・党友が真剣に考えてくれて、無効票も60票と少なかった。有意義な総裁選だった」と語った。