自民党総裁選 「決断力持って」経済活性化へ期待の声

【自民党総裁選2021 新総裁会見】会見する自民党の岸田文雄新総裁=29日午後、東京都千代田区の党本部(佐藤徳昭撮影)
【自民党総裁選2021 新総裁会見】会見する自民党の岸田文雄新総裁=29日午後、東京都千代田区の党本部(佐藤徳昭撮影)

29日に行われた自民党総裁選で、新総裁に岸田文雄前政調会長(64)が選出された。東京都内では新しいリーダーに喫緊の課題である新型コロナウイルスへの毅然(きぜん)とした対応を望む声が多く聞かれた。とりわけ大きな影響を受けてきた飲食店を中心に、コロナで冷え切った経済活性化への切実な声が上がる。

「岸田氏選出」の一報を聞いた豊島区の自営業女性(64)は「柔和な印象がある河野太郎さんに当選してもらいたかった」と残念そうに語った。「岸田さんの印象は正直薄い。だが、厳しい状況に置かれている飲食店などに対して、もっと温かな心でコロナ対策を進めてもらえれば」と話した。

都内の大学3年、小野涼子さん(20)=文京区=は、大学の教授や友人らと、岸田氏の当選を予想していたという。「『やっぱりな』という気持ちが大きかった。岸田さんにはお堅いイメージがあるので、そのイメージのまま、打ち出した政策は期限を決めてしっかり実現してもらいたい」と期待を込めた。

新型コロナの感染拡大によって、営業自粛や客の減少など打撃を受けた飲食業界。酒類の提供制限が続いた居酒屋の経営者からは、国政のかじ取りについてさまざまな注文が聞かれた。

串揚げ店「串かしく」(港区)は国の緊急事態宣言発令を受けて、7月から休業を続けていた。営業再開に備えて作業をしていた店主の残間和男さん(72)は「感染対策はしっかりやっている。時間の制限などなく、普通に営業できるようにしてほしい」と言葉を絞り出す。岸田氏に対しては「経済を回すためにも決断力を持って政策を進めてほしい」と話した。

宣言によって2カ月以上休業してきた焼き鳥店「志ん橋一鶏」(同)の店主、高橋一郎さん(65)は、コロナ対策について「これまでやることが遅かった。医療体制の整備など先手を打って対策を進めてほしい」と求めた。

ワクチン接種のさらなる拡大を求める声も聞かれた。転職活動中という男性会社員(24)=狛江市=は「コロナの影響で企業との面接もずっとオンライン。通信環境の問題もあるのでやりづらかった」とこぼす。

男性は今月までにワクチンの2回目接種を終えたが、まだ接種を受けられずにいる知人も多い。「緊急事態宣言も解除されるが、感染拡大が不安。若者がもっとワクチンを打てるようにしてほしいし、個人的には再度の特別定額給付金も考えてほしい」と話した。(内田優作、浅上あゆみ、太田泰)

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