野球がぜんぶ教えてくれた 田尾安志

還元する心を持つ

思い出を語る佐々木信也さん
思い出を語る佐々木信也さん

長引く新型コロナウイルス感染の影響で、プロ野球は入場者数の制限が続いている。どの球団も、厳しい経営環境に置かれているのは、間違いない。どう収入改善を図るか。アイデアが求められている。

来季以降の試合数を増やすのは、どうだろう。今季のレギュラーシーズンは143試合制。米大リーグと同じ162試合制にすれば、コロナ禍で減少した入場料収入を多少なりとも補えるのではないか。

過去を振り返ると、1956年にパ・リーグのペナントレースが154試合制で行われたことがある。球界OBで、スポーツキャスターとしても尊敬する佐々木信也さんはこの年、高橋ユニオンズで全試合に出場。新人ながら、シーズン出場試合数の日本タイ記録保持者となった。

56年のシーズン開幕は現在と同じ3月下旬で、最終戦は10月上旬だった。今季の試合はコロナ下の特別ルールで九回打ち切りとなっている。延長戦がなければ、選手の疲労も軽減される。162試合制は不可能ではないはずだ。

もし難しいのであれば、開幕を前倒しすればいい。3月に各球団とも約20試合行っているオープン戦を公式戦に変える手もある。

そもそも、キャンプインからシーズンが幕を開けるまでの期間が、日本は長すぎる。米大リーグは日本より遅くキャンプが始まるのに、公式戦開幕は早い。「準備期間」は日本も同じように、短くてもいい。

今の日本の選手は、オフに自主トレーニングでしっかりと体をつくるのが当たり前となっている。だから、キャンプの早い段階で仕上げることができる。本音の部分では、開幕まで約2カ月間もかける必要はないと思っているチームも多いのではないか。

一方、大リーグの選手はコンディションのピークを開幕戦に合わせようとは思っていないようだ。目標は長いペナントレースを乗り切ること。だから、7割ぐらいの状態でシーズンに入り、試合に出場しながら徐々に調子を上げていく。

いずれにせよ、試合数が増えれば、選手側から報酬アップを望む声が出るかもしれない。だが、プロ野球選手は恵まれた環境にある。還元するつもりで、球界のコロナ危機を救ってほしい。(野球評論家)

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