がん電話相談から

乳房切除後のホルモン療法、副作用がつらい

Q 41歳女性です。昨年9月に健診で左乳がんが見つかり、乳房温存(部分切除)術を受けた後、放射線治療も受けました。今年1月末からは、再発を防ぐためにホルモン療法のタモキシフェン内服を始めました。しかし、不眠症状とうつ症状が出たため、タモキシフェンはいったん休薬とし、半分の量で再開しました。その後、卵巣が腫れるという副作用も出たため6月下旬に服用を中止。現在は卵巣の腫れは治り、うつ症状も落ち着いています。ホルモン療法の再開はあまりしたくないのですが、再発も心配です。

A 手術の病理の結果はわかりますか。

Q がんの大きさは10ミリで、リンパ節への転移はありませんでした。ホルモン受容体は陽性、HER2は陰性、がんの悪性度を示すグレードは3段階のうち一番低い1で、増殖しているがん細胞の割合を示す「Ki―67」は4%で低いと言われました。

A ステージIのホルモン型乳がんで、悪性度はかなり低く、再発の可能性は低いと考えられます。がんの大きさが6ミリ以上ならホルモン療法を行うのが標準的で、閉経前であればタモキシフェンが使われます。副作用が問題ない範囲であれば、タモキシフェンを継続するところですが、副作用が強いようなら中止でもよいように思います。

Q 担当医からは、再発の可能性は5%で、ホルモン療法をきちんとやれば、それを3%くらいに下げられると言われました。

A 担当医の説明の通りです。100人がホルモン療法を受けたとして、「再発を防ぐ」という恩恵を受けられるのは2人だけ、ということです。恩恵がこの程度であるということを理解した上で、ホルモン療法を続けるかどうか判断することになります。

Q 副作用を抑えながらホルモン療法を継続することはできますか。卵巣を診てくれた婦人科医からは、注射のホルモン療法を併用するとよいのではないかと言われました。

A タモキシフェンが、子宮内膜に対しては女性ホルモンとして働くため、子宮内膜症としての卵巣囊腫(のうしゅ)が悪化して卵巣が腫れたのだと考えられます。閉経前の乳がん術後のホルモン療法としては、タモキシフェンに、女性ホルモンの産生を抑えるLH―RHアゴニストの注射を併用することもあるのですが、この注射は、卵巣囊腫の治療にも使われるものですので、卵巣囊腫を抑えながらホルモン療法を継続できる可能性があります。より再発のリスクの高い方であれば、タモキシフェンとLH―RHアゴニストの併用をお勧めするところです。ほかに、アロマターゼ阻害薬とLH―RHアゴニストの併用という選択肢もあるのですが、アロマターゼ阻害薬は、日本では、閉経後の乳がんに限って承認されているので、閉経前の患者さんには使いにくい状況です。

Q このままホルモン療法を中止するか、タモキシフェンとLH―RHアゴニストを併用するか、ということですね。なかなか決め切れません。

A 副作用でつらい思いをされてきたようですので、もともと再発リスクが低いことを考えると、このまま中止してしまうのでよいように思います。十分考えて、納得して決断したなら、それがあなたにとって最善の判断です。この先は、再発のことばかり気にせず、やるべき治療はきちんとやったと思って過ごされるとよいと思います。

回答は、がん研有明病院乳腺内科部長、高野利実医師が担当しました。

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