新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の解除決定を受け、宣言発令中の関西4府県も28日、10月1日以降の対応を決めた。焦点だった飲食店での酒類提供をめぐり、大阪など3府県は、感染対策の認証制度を取得した店での提供再開を容認。ウィズコロナの方向性を相次ぎ打ち出した。
大阪府は対策本部会議を開き、府が認証した飲食店などでは午後8時半まで酒類の提供を認め、営業時間は午後9時までとした。認証を受けていない店には、酒類提供の自粛と午後8時までの営業時間短縮の継続を求める。認証の有無にかかわらず、飲食店などの利用は同一グループ4人以内とする。
百貨店を含む商業施設やパチンコ店などには午後9時までの時短への協力と、入場整理を要請する。期間は10月31日まで。吉村洋文知事は「急激なリバウンド(感染再拡大)を防ぐことが重要だ。制限は段階的に緩和する。コロナを抑えつつ、社会経済活動との両立を目指したい」と語った。
京都府は認証店に対し、午後8時半までの酒類提供と、午後9時までの営業を認めた。認証店以外では営業時間と酒類提供時間がそれぞれ1時間短縮となり、差別化を図る。要請の対象は京都市と府南部の計16市町村で、府北部については制限を解除する。西脇隆俊知事は「この3週間でどのように感染者が推移するかを見極めたい」と述べた。
兵庫県も認証店を対象に午後8時半まで酒類提供を認めると決めた。ただアクリル板設置などの措置を講じれば、認証店以外でも午後7時半までは酒類提供を許可する。斎藤元彦知事は「飲食店の認証店舗を増やしていくことがウィズコロナ時代の方向性として望ましい」と話した。県内約2万8千の飲食店のうち、すでに1万2千店が認証済みという。
期間は京都、兵庫両府県とも10月21日まで。
これに対し、滋賀県は県内全域での飲食店への時短要請や酒類提供停止の解除を決定。制限が残る3府県と異なり、10月1日以降は通常営業が可能となる。
三日月大造知事は、「私権の制限は抑制的であるべきだ」とし、「ずっと我慢、制約という生活は長くは続かない」と述べた。
大阪府、認証条件に差別化 手続き迅速化が課題
緊急事態宣言が解除された後、飲食店などで酒類提供を容認するにあたり、大阪府は感染防止対策の第三者認証を受けていることを条件とし、未認証店と差別化した。吉村洋文知事は感染対策と社会経済活動の両立に向け、「感染に強い飲食の場づくり」を目指している。10月には飲食店などを対象に、ワクチンの接種証明などを使った行動制限緩和の実証実験が予定され、迅速な認証手続きが課題になりそうだ。
「大都市部で感染が広がりやすい。第三者認証を取っていない店はリバウンド(感染再拡大)を防ぐ意味で、お酒の提供自粛をお願いしたい」。吉村氏は28日の対策本部会議後、記者団にこう述べた。
政府は同日改定した基本的対処方針で、酒類の提供は可能としつつ、「都道府県知事が適切に判断する」と裁量を与えた。府は認証店に限り午後8時半までの酒類提供を認め、認証していない店には引き続き自粛を求める方針を決めた。
認証のお墨付きとなるのが、府が6月16日に運用を始めたゴールドステッカー制度だ。店側は、感染対策の責任者を配置するなど、43項目の対策を確認した書類と、裏付けとなる写真を府に提出する。書類審査や現地確認を経て、最短2週間ほどで認証される。
今月28日午前時点での申請件数は4万2650件で、認証済みは3万2118件。営業時間短縮要請に対する協力金を受け取った約6万店を母数と考えれば7割が申請し、半数以上が認証を受けた形だ。
だが、制度開始から約1カ月半後の8月2日に4度目の緊急事態宣言が発令されたため、府は認証の有無に関係なく酒類提供の自粛を要請。認証のメリットが一時的になくなった飲食店は申請を控えるようになり、手続きは停滞した。
府幹部は28日の対策本部会議で、宣言解除後の申請増加を見据え「今後はゴールドステッカーが重要になる。お店が用意できているのに手続きが遅れることがあってはならない」とくぎを刺した。
府はさらに認証店を増やすため、飲食店のインセンティブ(動機付け)となる支援策を打ち出している。
1万円払えば最大1万2500円分の食事ができる「Go To イート」のプレミアム食事券について、認証店では上限を1万3千円分に引き上げる。府民が府内を旅行する際、認証店に限って飲食でも使えるクーポン券を最大3千円分配布する予定だ。