枝野氏「私が総裁選に出れば最年少」 世代交代論を一蹴

会見で記者団の質問に答える立憲民主党の枝野幸男代表=27日午後、国会内(春名中撮影)
会見で記者団の質問に答える立憲民主党の枝野幸男代表=27日午後、国会内(春名中撮影)

次期衆院選で、立憲民主党の枝野幸男代表(57)に自民党の牧原秀樹衆院議員(50)がぶつかる埼玉5区は注目区の一つだ。過去7回連続で勝利している枝野氏に対し、比例復活当選が続く牧原氏が議席奪取を目指して挑む。牧原氏は、旧民主党政権で要職を歴任した枝野氏の経歴を踏まえ「世代交代」を掲げて浸透を狙うが、堅固な地盤を揺るがすことは容易ではない。

牧原氏は28日朝、埼玉5区内の埼玉新都市交通加茂宮駅(さいたま市北区)近くで街頭演説に立ち、衆院選に向けこう力を込めた。

「地域密着で、(国会近くの)議員宿舎は借りず電車通勤で活動してきた。地域で何かあったらすぐ駆けつける。地元の子供やお年寄りの安全を守り、駅のバリアフリー化を進めてきた。さいたま市に住み、市民の皆さん一人一人と向き合ってきたのは牧原秀樹しかいない!」

党代表として全国を駆け回る生活を送る枝野氏を念頭に置いた発言にほかならない。

とはいえ、埼玉5区での枝野氏の支持基盤の厚さは牧原氏のそれをはるかに上回る。自民党が枝野氏を「狙い撃ち」して党幹部らを集中的に投入した平成26年の衆院選でさえ、牧原氏は約3000票差まで迫るのがやっとだった。

枝野氏が党首の座に就いてからは、メディアでの露出度の差も一層顕著になっている。29年の前回衆院選では、旧希望の党の路線に反発して枝野氏が旧立憲民主党を結党した経緯が「政治ショー」としてもメディアをにぎわし、枝野氏と牧原氏の票差は約4万2000にまで開いた。

牧原氏の地元関係者は「前回衆院選はテレビに負けた。相手は党首だからメディアに取り上げられる。差を少しでも埋めたい」と語る。

枝野氏に詰め寄ろうと腐心する牧原氏が、訴えの一つに据えているのが「世代交代」だ。28日の演説では、枝野氏や立憲民主党最高顧問の野田佳彦元首相の名を挙げて「民主党政権で最悪だったのは結局財源がなくなったことだ」と批判した。

と同時に、単なる「民主党憎し」にとどまらない、牧原氏が思い描く理想の野党像も垣間見えた。

「私が立憲民主党の代表(の枝野氏)を打ち破れば、代表が替わる。すると、おそらく民主党政権で主要なポジションを担った大幹部から、次の世代に野党の『顔』が変わる。次の世代の野党の『顔』を何人か知っているが、足を引っ張ることだけが目的という政治家ではない。勝って地殻変動を起こすことが大事だ」

野党内からではなく、まさか自民党内から「枝野降ろし」の狼煙(のろし)が上がるとは、枝野氏も予想外だったに違いない。28日夕、国会内で開かれた枝野氏の記者会見で、牧原氏の挑戦をどう受けて立つかを尋ねた。

枝野氏は「相手とのことについては申し上げないのが選挙のマナーだと思っている」と応じ、「一般論として」と前置きした上で次のように語った。

「よく『世代交代』といわれるが、私が今、自民党の総裁選に出れば最年少だ。(総裁選に立候補している)自民党の4人のだれがなるよりも、私がなったほうが世代交代だ」

枝野氏にとってのライバルは牧原氏ではなく、29日に選出される自民党の新総裁ということか…。(深津響)