浪速風

大横綱の相撲道

大相撲秋場所で一番の好取組は、10日目の照ノ富士―宇良戦だった。照ノ富士の上手投げに裏返りながらも、まわしを離さず粘った宇良は見事だったが、評価したいのは体が離れた中盤のにらみ合いで、照ノ富士が宇良が仕掛けるのをどっしり待った点だ。どこからでも来いと言っているような横綱相撲だった

▶白鵬だったら間違いなく、張り手を浴びせて仕掛けていただろう。名古屋場所千秋楽の照ノ富士戦でも白鵬は、張り手を連発した。立ち合いでは肘打ちまがいのかち上げも見せた。45回目の優勝は、こうした荒技で積み上げたものだ

▶白鵬の充実期は「後(ご)の先(せん)」をめざしていたころだと思う。相手より一瞬後に立ちながら、当たり合った後には先手を取っている立ち合いで、角聖・双葉山が得意としていた。相手にまず相撲を取らせる横綱相撲の理想と言っていい。それができなくなっても勝利にこだわった「大横綱」に相撲道は見えていただろうか。